2021年7月2日(金)に、「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」に新エリア「Garden Area」が誕生しました。従来の水とデジタルが融合した「Water Area」に加え、13,000株を超えるランの庭園と本物の苔を使用した庭園を体験することができます。
「高密度で立体的なランの庭園をつくった」と話すチームラボ代表 猪子寿之氏に、空間の魅力や、この場で体験できることをかうかがいました。
東京・豊洲の「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」とは?
都会にいながら自然と一体化できるアートミュージアム。開業 3 年目にして約200万人が訪 れ、注目を集めています。コンセプトは「Body Immersive」。作品を通して「人と世界」「人と作品」の境界をなくし、新たな視点をもってほしいと考える猪子寿之氏率いるチームラボが届ける自然とデジタルを融合した作品を体験できる。
自然とのボーダレスを味わう
「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」のエントランスを入ると、まず薄暗いロッカールームで裸足になります。そして、真っ黒なカーテンを抜けるとそこには芳醇な香りとともに、鮮やか な景色が目に飛び込ます。
「Garden Area」は13,000株のランが吊るされた空間を自由に歩き回れる作品。壁と床には鏡が敷き詰められており、花々の空間が無限に続いているかのような感覚に陥ります。そして、花に近づくと人感センサーが作動してゆっくりと花が上昇します。ゆっくりと空間を歩むといつの間にか体ごと花に囲われた空間が出現します。
圧倒的な数の本物のランが鏡で反射したどこまでも続くような空間に体ごと没入することで、目の前の花と自分、自分と巨大な作品の境界があいまいになるような体験ができます。
この作品を“都会の庭園”とも呼んでいる猪子氏にインタビューしました。
①花が生き続けられるリアルな庭園空間
1,3000株のランが密集するこの庭園空間は屋内ですが、天井は自然光を取り入れられるガラスで覆われています。そして、一番の見どころであるランは切り花でなく根っこごとハンギングされ、この空間で太陽光を浴びて生きています! 一時的な展示作品ではなく、生きているランを愛でることができる“庭園”なのです。
また、ガラス天井から空は見えますが、ビルが乱立する街並みは一切見えません。都心の喧騒(ノイズ)を排除することで、刻々と変わる太陽の光と、目の前の生花に集中できる場になっています。都会ならではの庭園です。
上下左右のない無限に続く空間
空間の壁と床には鏡が使用されています。作品の中に立つと、鏡に反射された大量のランが万華鏡のように無限に続いているように見えます。
また、空中で生きることができるランは、土に植える必要がありません。そのため、上下関係なく吊るされており、それらが鏡に反射されることで空間に訪れた人に対して、連続性だけでなく上下の重力を失ったような浮遊感も感じる空間になっています。
裸足で作品の中に入ることで、鏡の冷たさを感じたり、朽ちて足元に落ちたランを踏んだりすることもあり、目だけでなく、感触として作品に触れることができます。
花の細部まで楽しむ
ランの花は透明なテグスで吊るされており、近づくと人感センサーが作動し、ゆっくりと上昇します。ゆっくりと上昇する間、目の前の花の根や茎、葉、花びらをじっくり眺める時間が生まれます。「普段の生活でも、庭園に訪れても、1つ1つの草花をじっくり見つめる行為をしていないのではないか。ここでは間近で花を凝視できる」と猪子氏は話します。
④高密度な庭園に没入する
空間を進んでいるうちに、人がすっぽりと埋まるランに囲われた空間ができます。人がいなくなると、ランが降下し、その空間は消滅します。また、人が歩き回ることで空間が広がったり、ほかの来場者と近づくことで空間がつながったりして、空間はどんどん変化していきます。「恋人たちの空間と友人同士の空間など、一緒に訪れた人の関係で空間の大きさも変わる」と猪子氏。
最後に、「Garden Area」で目指した都会の庭園について猪子氏に聞いた。
「京都のような盆地では建築と庭園、山や空といった自然が一体となった空間をつくることができるが、東京のような平野にビルが乱立する都会では難しい。今回の作品の試みの1つとして、デジタルではなく本物の花を使用し、自然光は取り入れながら都会の風景を排除することで、京都の庭園のような自然と一体化した都会ならではの庭園空間をつくった」(猪子氏)。
猪子氏がインタビュー中に何度も繰り返した「境界」。これらの作品を体験し、境界を認識していることに疑問を抱き、境界がなくなった先の世界を見つけてみてください。
「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」が届ける「水に入るミュージアムと花と一体化する庭園」はコチラ