【PR】【動画】木造の多様な空間における梁の構造設計

2021年11月に実施されたジャパンホームショー2021・建築知識実務セミナーでは、第一線で活躍する構造設計者・大野博史氏(オーノJAPAN)が「木造の多様な空間における梁の構造設計」と題して、住宅・非住宅問わず、木造で大空間をつくる場合、国産材などを利用する場合に悩ましい"梁の設計についてのポイントを解説しました。

 

  大野博史氏による建築知識実務セミナー「木造の多様な空間における梁の構造設計」。具体的には、梁の役割や組み方の工夫について実例を交えながら解説が進められました。

 

まずは木造の梁を設計する場合にポイントになる”たわみ”について解説。

 

続いては床面積当たりの梁の負担荷重について。梁を水平方向に敷き詰めるマッシブホルツについても説明されています。

 

続いては「建築知識」のtwitterでもバズった”レシプロカル構造”(持合い構造)について。A4用紙と箸、コップを用いて構造の原理を解説しているほか、狭小敷地で短い梁材しか建て込めない条件で同構造を採用した「DAYLIGHT HOUSE」(設計:保坂猛建築都市設計事務所)について解説しています。

 

続いては梁の設計で重要な指標となる断面二次モーメントについて。梁幅よりも梁成を大きくすると、断面二次モーメントが大きくなり、大スパンが可能になる、という内容を説明しています。その原理を応用したのがトラス梁で、実例として「日本平夢テラス」(設計:隈研吾建築都市設計事務所)も紹介されています。

 

最後は登り梁で大スパンを飛ばす方法。単純梁ではなく、複数の梁を三角形に組むことで短い材でも大スパンを実現できるというもの。ただし、水平方向に開く(通称:スラスト)現象があるので、その対策について「むく保育園」(設計:手塚建築研究所)を引き合いにしながら説明しています。

 

MEMO “レシプロカル構造“、建築知識のTwitterでバズる!

 A4用紙と箸、コップで表現した“レシプロカル構造”。「建築知識」でtweetしたところ、マニアックな内容ながらも思わぬ大反響。数多くのリツィートや“いいね”を獲得しました。身の回りのものを用いて構造の本質を表現する」という面白さや、「1つ1つは弱い材料でも組み合わせ次第では強い骨組みを構成できる」という日本人の琴線に触れる工夫が直感的に伝わったのかもしれません。

 なかには実際に真似をした人も。“構造”といえば設計者も苦手とする人が多いかもしれませんが、ちょっとした工夫でより直感的に理解できるようになり、意匠と構造のバランスが取れた提案ができるようになるでしょう。

協賛=全国木材組合連合会

撮影・編集=平林克己

こちらの記事もおすすめ

「木材を燃えにくくする方法」安井昇の木造化・木質化と防耐火③

建築 連載2021/01/15

 木造化・木質化における防耐火設計とは、木材の延焼防止性能を活用する設計手法であると言い換えられます。防耐火規制に見合う性能を得る手段としては、以下の3つが考えられます。 A:木材を太くする B:木材 …

「建築基準法の防耐火」安井昇の木造化・木質化と防耐火①

建築 連載2021/01/04

 建築物の木造化・木質化。それを実現するに当たって大きなハードルとなるのが、火災です。とりわけ、可燃材料である木材を現しとする場合には、細心の注意が求められます。火災とは、熱(炎)と煙が成長する災害で …

兵庫県立美術館の巨大な青りんご。その意味とは

2020/07/01

兵庫県立美術館内にある「Ando Gallery」(2019年5月23日開設)に行ってきました。兵庫県立美術館がオープンしたのは2002年。安藤忠雄氏の設計です。Ando Gallery は、その展示 …

歴史と文化を生かすリノベ術②

新着 建築 インタビュー2022/11/22

〝大正浪漫〞の趣を残す温泉街にある木造建築「銀山温泉 本館古勢起屋」が、建築家・瀬野和広氏の改修設計により、当時の趣をそのまま生かした形で現代によみがえりました。内外装ともに、大正時代に一世を風靡した木造の洋館建築の設え。歴史と文化を繋ぐ、その設計術を紐解いていきます。

安っぽさを払拭!ワンランク上のシェアハウスがおしゃれすぎる!

住宅2021/01/29

最近、人気テレビ番組の影響もあって増えてきたシェアハウス需要。もはや「安い」というメリットだけでは魅力が不十分になりつつあり、居住者を増やすにはひと工夫が必要です。今回の記事ではとことん快適性・心地よさにこだわったシェアハウスの事例をご紹介します。

Pick up注目の記事

Top