はじめに
1971年に米国シアトルで開業した、世界規模で展開するコーヒーチェーン店のStarbucks。1996年8月、銀座に日本1号店をオープン。その後、全国で店舗数を増やし、2019年12月末時点の店舗数は1530店。ペーパーカップやタンブラーを手に街を歩くスタイルや、家でも職場でもない「サードプレイス」の提案など、そのときどき空気を感じ取り、新たな価値を生み出してきました。その付加価値は、他のコーヒーチェーン店とは一線を画す、建築&インテリアへのこだわりからも感じられる違いありません。ここでは、そのエッセンスを3回に分けて紹介します。
1 過ごし方によってカウンターの高さを変える
カフェの店員やバリスタとの会話は、カフェでの楽しみの1つ。コーヒーについて聞いたり、その日の天気について話したり、コミュニケーションを楽しみに来る客も多いもの。コミュニケーションを取りやすいカウンターの高さは900㎜がおすすめ。高すぎるカウンターは、時にバリスタと客のコミュニケーションのバリアとなってしまいます。少し低めに設定することで、目線や手ぶり身振りも分かりやすくなるので、コミュニケーションが取りやすくなります。
カウンターが高い場合 カウンターが低い場合
2 地元産の木をふんだんに使って温かみのあるカフェに
内装に木材をたくさん採用すると、ほっとできる空間になります。加えて、地域で採れた木材を積極的に採用すれば、地域とのつながりをさらに感じさせる温かみのあるカフェになります。せっかくカフェを営むのなら、地域とのつながりも大切にしたいもの。それには、地域との信頼関係が欠かせません。地域社会活動に積極的に関わり、地域の人々との絆を深めることが大事です。たとえば、地域で採れた木材を内・外装や家具に使って地元の産業を知る機会をつくったり、地域で活動する若いアーティストの作品を店内に飾って活動を支援したり。地域と店の関係が強まれば、店は自然と地域に根付き、地域の人からの信頼も得られることでしょう。
※1 カフェ(カフェー)は、耐火建築物であれば、その用途に供する3 階以上の床面積合計≧1,000㎡の場合、準耐火建築物であればその用途に供する2 階以上の床面積合計≧500㎡の場合、その他の建築物であればその用途に供する床面積合≧200㎡の場合に、それぞれ内装制限の対象になる。居室などの壁・天井を難燃材料(3階以上の居室の天井は準不燃材料)で仕上げなければならない[法35 条の2、令128 条の4]
※2 この事例では、「みなとモデル二酸化炭素固定認証制度」の認定を受けている。「みなとモデル」は東京都港区が推進する、国産材の活用促進のためにつくられた認証制度。港区内で建築計画がある場合は、ぜひ活用を検討してほしい
※3 床面から1.2m の高さまでは内装制限がかからない[令128条の5]
つづく