「高温多湿な夏の換気の秘訣」換気-空気の道をデザインする⑥

家にいる時間が圧倒的に増えることによって、俄然注目を浴びるようになった“換気”。設備設計者として第一線で活躍し、多くの著書を執筆している山田浩幸氏が、家における正しい換気の方法について解説します。

はじめに

人が家のなかで快適で安全に過ごすために、換気は重要な要素です。最近ではリモートワークの普及が進み、自宅で過ごす時間が確実に増えました。適切な換気はウイルス感染症対策にも有効であるといわれています。
 では、換気は具体的にどのように行えばよいのでしょうか? 本稿では、「換気の目的とメカニズム」「換気の方法(自然換気と機械換気)」「夏の換気・冬の換気」について、設備設計者として数多くの建物にかかわり、『世界で一番やさしい建築設備』『エアコンのいらない家』『建築設備パーフェクトマニュアル』『ストーリーで面白いほど頭に入る建築設備』(いずれもエクスナレッジ刊)の著者としてもおなじみの山田浩幸氏(yamada machinery office[ymo])に、それぞれのポイントを解説していただきました。

6 高温多湿な夏の換気

 適切な換気方法は、季節によっても違いがあります。夏の給気は、湿気を多く含んだ熱い空気(外気温30℃以上、湿度70%以上)を室内に取り込むことになります。そのとき室内がエアコンで冷却されていると、懸念されるのが結露の発生です。そのおそれは「空気線図」を見るとよく分かります。

 「空気線図」とは温度、湿度、エンタルピー、比容積などの関係を縮図にしたもの。空気は温度に比例して湿気を多く含むことができるので、30℃のときは湿度70%であっても、温度を下げると湿度が上昇し、24℃まで下がれば湿度は100%に達します。これが結露の発生するメカニズムです。

空気線図からは、空気を冷ますと湿度が上昇し、空気を温めると湿度が低下することが読み取れる。したがって、冬の暖房で室温が上昇すると湿度が下がり、ウイルスが活性化する

 特に2020年からは、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、積極的に窓開け(自然換気)をしながらエアコンも動かすというハイブリッドなシーンが増えていると思います。そのとき、窓や扉を大きく開けすぎると、室内の温度によっては結露発生のリスクが高まります。

 エアコンの稼働と同時に自然換気も行う場合、窓や扉は必ずしも全開にする必要はありません。2カ所以上(出来るだけ離れた個所)の窓をそれぞれ5〜10㎝程度開ければ、機械的な換気よりも効率的に室内の空気を入れ換えられます(換気扇と併用すればより有効です)

 夏の湿度は70%以下を目標にしてください。WBGT(暑さ指数)によれば、体内の熱は湿度が70%を超えると放出されにくくなり、室温26℃の場合でも熱中症への警戒が必要になるとされています。エアコンは通常運転モードでも除湿効果が期待できます。窓を少し開けて換気をする場合は、湿度管理も十分行いつつ、快適な環境をつくっていただければと思います。

WBGTとは、熱中症の予防を目的として、気温・湿度・放射熱をもとにアメリカで提案された指標。単位は空気と同じ“℃” で示されるが、その値は気温とは異なる。「日常生活における熱中症予防指針Ver.3 確定版」(日本生気象学会)では、熱中症の危険度について、WGBTを用いて4 段階の温度基準で整理しており、危険度が高い順に、赤・オレンジ・黄色・黄緑に色分けされている。温度が同じでも、湿度が高いと熱中症のリスクが高まることが分かる

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