住宅 建築

「お薦め建材・設備」各務謙司のマンションリノベ④

『世界にひとつだけのプレミアム・リノベーション』の著者であり、都心を中心に、マンション・リノベーションの設計を手がける各務謙司氏。間取りとインテリア、家具・ファブリックのデザイン・コーディネートに加え、法規・断熱・構造・設備・遮音などに関する知識を紹介しましょう。

各務謙司のお薦め建材・設備2021

 

A 間接照明に使えるアルミスパンドレル

間接照明を検討する場合は、ボックス内の仕上げ材でアクセントを付けてもよいでしょう。お薦めの1つが「アルミスパンドレル」(アサヒ金属)。間接照明の光を当てると、硬質感のあるアルミニウムが柔らかく表現されます。

コーブ照明のボックス内を「アルミスパンドレル」で仕上げた例。働き幅156㎜(26㎜×6)の「ロールフォーミング 16型 アルミスパンドレル」を使用している。色は古河ブロンズ。壁を大理石で仕上げた空間にもマッチしている

取り付け方は簡単。間接照明ボックス内に働き幅156㎜の「アルミ スパンドレル」を並べるだけでよい

 

B 間接照明に使える木製ルーバー

木製ルーバーも間接照明と相性のよい建材。木製ルーバーを上下からライトアップすると、光と影のグラデーションが美しく表現されます。お薦めの木製ルーバーは「ファンシーパネル」(ニチモクファンシーマテリアル)。火山性ガラス質複層板に天然木の突き板(0.3㎜厚以下)を縛り付けした不燃木材です。

イタリアで採掘される超高級な大理石“ポルトロ”をTVの背面壁に採用した「港区R邸」。“ポルトロ”の背後には、木製ルーバーを壁面いっぱいに張り付けた。素材感のコントラストが感じられるほか、上下に仕込まれた間接照明光の柔らかなグラデーションが高級感を高めている

ポルトロ”と木製ルーバーのクリアランスは40㎜に設定。“ポルトロ”の高さに合わせてLEDライン照明「ルーチ・シルクス ワイド」(ルーチ)を2カ所に設置している。木製ルーバー背後のポリエステル化粧合板は黒。ライトアップ時の木製ルーバーを際立たせている

 

C 内装制限に対応する不燃木材

壁や天井を木質系の材料で仕上げる場合に重宝するのが内装用不燃ボード(不燃木材)。その代表的な製品が「リアルパネル」(ニッシンイクス)です。アルミ箔張り火山性ガラス質複層板の上に、0.2㎜厚の突き板を張り合わせたもの。火気使用室にも使用できるほか、取り付けも簡単です[※]

折り上げ天井( LDK)の内部を「リアルパネル ナララスティックヘリンボーン」で仕上げた「渋谷区Q邸」。複合フローリングをヘリンボーン張りした床との調和が感じられる

主人が使用する書斎の壁面を「リアルパネル ダメージオーク」で仕上げた「代々木上原I邸」。個室に関しては、野性味あふれるテイストで仕上げてもよい

 

D 高級感を演出する人工レザー

壁面や建具に高級感をもたせる素材として重宝しているのが人工レザーです。一般的には、飲食店などのソファなどに使用されているものですが、なかには高級感が得られる人工レザーもあります。ステッチを入れると、高級感が増します。お薦めは「WHISPER/KEYSTONE」(チェルシーインターナショナル)

人工レザーを建具(開き扉)に採用した例。リビングの出入口など、目立つ扉に採用することが多い。ここでは、扉脇に開口(FIXガラス)を設け、視線の抜けを確保した

人工レザーは天然レザーと同等の硬質感・手触り感をもつ。汚れたときの掃除もしや すく、価格も天然レザーに比べて比較的安価

 

E 寝室の照明は“IoT”で管理する

1室多灯照明が普及するなか、照明の点灯には煩わしさを感じたくないところ。お薦めはスマートフォンやスマートスピーカーで点灯の指示が行える「アドバンスシリーズ リンクモデル」(パナソニック ライフソリューションズ社)です。点灯だけではなく、調光やシーン設定が行えるというのが心強いですね。

ダウンライトや天井スリットに取り付けたスポットライトなどの管理を「アドバンスシリーズ リンクモデル」で行う「渋谷区Q邸」の寝室。「Alexa」(amazon)で操作することも可能

 

使用したスイッチ WTY5411WK/LED調光スイッチ(親機・受信機) MKN7531/無線アダプタ WTY8701W/無線中継器

 

 各務謙司さん[カガミ建築計画/カガミ・デザインリフォーム]は、1級建築士およびマンションリフォームマネージャー。都心を中心とした高級マンション・リノベーションの設計提案を得意としています。工事費が1,000万円を超える高額リノベーションの実績は100件を超える。主著に『世界にひとつだけのプレミアム・リノベーション』最新版 驚異のリフォーム・リノベーション術』(いずれもエクスナレッジ)。自身のブログ「建築家が考えるプレミアムリフォーム・リノベーション」を通じて精力的に発信しています。

 

※ 下地の上に接着、もしくは面が大きい場合にはフィニッシュネイルなどで留めるだけでよい

③に戻る

つづく

こちらの記事もおすすめ

「木のしなやかさを生かす」“地産地消”でこれからの建築が変わる!-後編-

建築2021/06/07

屋根と基礎のみで成り立つ「K.S. Kindergarten Lunch House」。登り梁に採用したスギ材はヤング係数が低いため強度も低いと思われがちですが、この建築ではスギ材に「しなり」を加えることで強度を上げることに成功しました。今回の記事ではその設計方法を紹介します。

【PR】「都心の真ん中に立つ活動の場」働き方とまちづくり①

建築2022/04/15

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、リモートワークなどの柔軟な働き方が一気に浸透しました。この連載では、新たなライフスタイルに合わせ多様化する働き方やそれらを受け止めるワークプレイス、またその周辺を取り巻くまちとの関わりについて紹介します。

リノベーションが創造する 過去のある未来②

住宅 建築 連載2023/01/27

住宅に限らず、商店・ビルなど、さまざまな用途分野で活性を高めているリノベーション。本対談では、設計者としていち早くからリノベーションを手がけてきた各務謙司氏と中西ヒロツグ氏が、建築としてのリノベーションの魅力や、長年の経験で培われてきたノウハウについて語ります。

【PR】「自然が豊かなテレワーク施設」働き方とまちづくり④

建築2022/05/31

コロナ禍を経て、リモートワークなどの柔軟な働き方が一気に浸透しました。この連載では、ワークプレイス、またその周辺を取り巻くまちの活動について紹介します。最終回の連載4回目は、都心からのアクセスのよさや豊かな自然環境などの魅力を生かした個性豊かなテレワーク施設を設ける長野県塩尻市・富士見町です。

湿気を逃がす通気立平葺きが屋根の新定番〈PR〉

住宅2024/01/29

工務店にとって雨漏りほどおそろしいクレームはない。この記事では、屋根の雨漏り対策に役立つ「通気立平葺き」について解説します。

Pick up注目の記事

Top