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「高級感のある設え」各務謙司のマンションリノベ③

『世界にひとつだけのプレミアム・リノベーション』の著者であり、都心を中心に、マンション・リノベーションの設計を手がける各務謙司氏。間取りとインテリア、家具・ファブリックのデザイン・コーディネートに加え、法規・断熱・構造・設備・遮音などに関する知識を紹介しましょう。

視線の集まる場所にはアクセントを付ける

 リビングに入って正面に見える壁の仕上げには気を使いたいところ。天然石やタイル、左官などの素材を使ってアクセントを付けるとよいでしょう。照明でライトアップすればかなり効果的です。「渋谷区Q邸」では、天然石、タイル+左官、バイオエタノール暖炉を組み合わせた壁を造作しています。一般的な内装では重量の観点から難しい“組積造”のような重みのある設えを表現しました。

 

壁面の出隅部にバイオエタノール暖炉「エコスマートファイヤー」(メルクマール)を設置。それによってオーバーハングした壁面を、タイルの上に左官仕上げを行う「HYTEGULA」(フッコー)で仕上げ、TVをかけた壁面を、ボーダー状の細かい目地が印象的な積層大理石「SALVATORI」(インテリアズ)で仕上げた。いずれも、ユニバーサルダウンライト「MD20918-00」(マックスレイ)でライトアップ。暖炉で揺らめく炎が心を癒す。床はオーク複合フローリング「ハンドスクレイプ」(望造)のヘリンボーン張り

「エコスマートファイヤー」を設置する場合には、周囲の耐熱性を高める必要がある。ここでは、本体をケイ酸カルシウム板とスチールで囲み、背面壁はスチール、側面壁は耐熱ガラス(FIX)、天井面はスチールで仕上げた「HYTEGULA」とスチールの取合いはスチール勝ちで納め、「HYTEGULA」の小口面に熱が伝わらないようにしている

「HYTEGULA」は、スチールを取り付けた後に施工する。タイルはW235×H30×T15㎜で色はブラック。左官は白土とした

施工はメーカーの責任施工。写真はタイルの上に、白土を塗っている様子

 

「エコスマートファイヤー」に関する記事はこちらから。

 

テレワーク用のデスクスペースは空間の四隅がお勧め

 テレワークの普及によって小さなデスクスペースを設けるニーズが増えています。リビングが広い場合は、その隅にデスクスペースを設けるのも一手。他人との距離がある程度確保できるほか、壁に向かうことで集中力を高められます。「渋谷区Q邸」では、壁面にカラーガラスを張り、家具の棚板や方立に仕込んだ間接照明で華やかに演出しています。

 

壁面の一角にデスクスペース用の家具を造作。ユーカリの突き板を燻蒸したデスクと棚を製作し、背面壁はカラーガラス「ラコベル ナチュラルブラウン」(AGC)で仕上げた。棚板と背面壁の間にはクリアランスがあり、棚板の小口に取り付けたLEDライン照明で、艶のあるカラーガラスの表面を照射。空間に彩りを添えている

棚板と背面壁のクリアランスは60㎜で設定。光がカラーガラスの表面に強く当たりすぎないように調整している。方立の側面にもLEDライン照明を設置。採用したLEDライン照明は「ルーチ・パワーフレックス」(ルーチ)。W21.2×H10.2㎜と非常にコンパクトで、曲げることも可能。棚板の厚さに十分に納められる。ここでは、裏面に排熱と配線用の孔を設け、結線と点検の際に開閉できる蓋も設置している(2カ所)

 

 各務謙司さん[カガミ建築計画/カガミ・デザインリフォーム]は、1級建築士およびマンションリフォームマネージャー。都心を中心とした高級マンション・リノベーションの設計提案を得意としています。工事費が1,000万円を超える高額リノベーションの実績は100件を超える。主著に『世界にひとつだけのプレミアム・リノベーション』最新版 驚異のリフォーム・リノベーション術』(いずれもエクスナレッジ)。自身のブログ「建築家が考えるプレミアムリフォーム・リノベーション」を通じて精力的に発信しています。

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