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「RCのコア抜きと遮音」各務謙司のマンションリノベ②

『世界にひとつだけのプレミアム・リノベーション』の著者であり、都心を中心に、マンション・リノベーションの設計を手がける各務謙司氏。間取りとインテリア、家具・ファブリックのデザイン・コーディネートに加え、法規・断熱・構造・設備・遮音などに関する知識を紹介しましょう。

雑壁のコア抜きは鉄筋を切断しない

 空調設備や床暖房などを増設する場合、設備配管を引き回すためにやむなくRC躯体に貫通孔を設けるケースもあります。管理組合に承認を得たうえで、雑壁のコンクリートをコア抜きします。ただし、雑壁といっても配筋が施されているため、鉄筋を切断しないようにする必要があります。レントゲン撮影を行って鉄筋の位置を画像化して確め、鉄筋を避けるようにしてコンクリートのコア抜きを行いましょう。

 

STEP1 レントゲン撮影を行う

X線レントゲン発生装置を使って、貫通孔を想定している、スケルトン状態のRC躯体を撮影する。断熱材は、機器が床に対して垂直に固定できないほか、基準を取るための位置取りが難しいので撤去した

 

STEP2 鉄筋の位置を確認する

撮影されたレントゲン画像。白く映し出されているのが鉄筋の配筋。撮影の前に、レントゲン写真に写っているXY軸と円弧、鉄筋をはっきりと映し出すため、外壁側に黒いシートを張り付ける

 

STEP3 鉄筋の位置を壁に記入する

鉄筋の位置を確認し、鉄筋の位置を壁に記入する(赤)。同時に貫通孔の位置も記入する(黒)。ここでは、給湯器からの追い焚き用の管および床暖房用のペアチューブを通すため、直径5㎝ほどの貫通孔を設けることにした

 

STEP4 コンクリートのコア抜きを行う

コンクリートのコア抜きを行う。壁にピンを打ち込んで、ボルトでコア抜きを行う機械を壁に固定。丸い歯を高速で回転させて、孔をあける。1本当たり20~30分ほどの時間がかかる。抜き取られたコンクリートは廃棄するが、経年で進行するコンクリートの中性化の判定や、耐震診断における圧縮試験に使用することも可能

 

STEP5 設備配管を通す

貫通孔に設備配管を通す。白い配管が給湯器追い焚き用や床暖房用、オレンジ色の配管が給湯および給湯還り用、グレーの配管がガス管

 

サイザル麻は遮音と高級感の演出が可能な床材

 マンション・リノベーションにおいて床材の選択は悩みの種といえるでしょう。マンションの管理規約によって、フローリングを敷くことができないケースがあるからです。その場合は、カーペットなどの素材を検討することになりますが、意外と使えるのが、麻袋の素材として使用される“サイザル麻”です。十分な遮音性能があるほか、野性味の溢れる表情を表現できます[※1]。ストッキングなどを引っ掛ける場合もありますが、足触りも良好です。

階段および居室ともに床材にサイザル麻を使用。遮音性能に優れているので、乾式2重床とはせずに、直床とした。ただし、コンクリートスラブの上には遮音マット「サイレント・トライマット」(特殊建販)を敷き込み、遮音性能を十分に高めている[※2]。空間全体としては、最上階を含むメゾネット住戸であり、階段室を囲む躯体に吹付け硬質ウレタンフォームによる断熱を施している[①参照]

サイザル麻「ライトカーキ」(IOC)を居室と階段室に敷いた「代々木上原I邸」。既存の階段なりにサイザル麻を張り込んでいる。壁面はオークの突き板をパネル張りとして、空間全体の色味とテクスチュアに適度な変化をもたせている

解体後の様子。コンクリートスラブが露出している。この上に、遮音マットを張る

手摺壁もオーク突き板のパネル張り。手摺子はやや色の濃いオーク無垢材で、現場造作 

 

 各務謙司さん[カガミ建築計画/カガミ・デザインリフォーム]は、1級建築士およびマンションリフォームマネージャー。都心を中心とした高級マンション・リノベーションの設計提案を得意としています。工事費が1,000万円を超える高額リノベーションの実績は100件を超える。主著に『世界にひとつだけのプレミアム・リノベーション』最新版 驚異のリフォーム・リノベーション術』(いずれもエクスナレッジ)。自身のブログ「建築家が考えるプレミアムリフォーム・リノベーション」を通じて精力的に発信しています。

 

※1 マンションにもよるが、“フローリング以外の床材は可”とする管理規約もあり、その場合は、大理石を使用することも可能である。ただし、軽量衝撃音が大きく、クレームの対象になりやすいので、遮音マットの敷設や乾式2重床にするなどの遮音対策が必要である
※2 3階と4階の床は22㎜厚の「サイレント・トライマット KS-LPM220」、階段の床は5㎜厚の「サイレント・トライマット TS-FP50SB」

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つづく

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