はじめに
「コーヒーのある生活」をテーマに、空間プロデュース、コミュニケーションデザイン、オリジナルプロダクツ開発・販売、接客・サービスのノウハウ提供などを手掛ける、夫婦ユニットcafenoma(カフェノマ)。10万人を超すフォロワーがいる人気のインスタグラマーでもあり、主な著書として「最高の暮らしを楽しむ住まいのレシピ」(エクスナレッジ刊)があります。本書には、コーヒーのある暮らしとインテリアについての考え方がキャッチーなコピーと美しい写真・イラストとともにまとめられています。ここでは、そのエッセンスを3回に分けて紹介します。
1 気分にあわせて、居場所を選ぶ楽しみ
カフェでの過ごし方は人それぞれ。コーヒーをじっくり楽しんだり、読書をしたり、会話をしたり、外を眺めたり。さまざまな過ごし方がありますが、1人になりたいからという理由から、何かに集中し没頭するために行くことも多いでしょう。人の目を気にすることなく雑踏に紛れるように、ぼーっとできるのが心地いいからかもしれません。そんなときは、ガラス窓で抜け感を保ちながら空間を区切ったり、床の高さを変え座る位置をずらすなどして、客どうしの目線が合わない配慮や、視線をやんわりと遮るための工夫があると心地いい空間が生まれます。

1つのカウンターを共有して床の高さを変えた例。同じ空間でありながらも、「座る」「寝そべる」など、さまざまな過ごし方ができるので、その時の気分に合わせて席を選べるようにすると、毎日のように通っても飽きないカフェになる。ガラスの間仕切り壁で囲まれた空間は、ガラスを通して同じ空間に身を置きながらも、一定の距離感を保ちながら、1人もしくは少人数でも気兼ねなくすごすことができる。
2 味のあるものを取り入れヌケ感をつくる
心地よさを最優先に考えるのであれば、まるで家で過ごしているような、緊張感のないリラックスできる居場所づくりを心がけるようにします。自宅なら座り心地やデザインの違う椅子をひとつひとつ吟味し、時間をかけて手に入れることで、形のちがう椅子がバラバラと並ぶこともあるでしょう。天井高があり、床や壁の素材が無味乾燥な印象を与えてしまうカフェなら、できるだけ味わいのあるビンテージチェアやテーブルを配置して、まるで自宅にいるような印象になるようにバランスをとることもできます。空間を支配する床と壁、家具の素材や色のバランス全体を考慮しながら心地よさを演出することが可能です。

ダイニングチェアを同じ製品で統一せず、異なるものをセレクト。デザインが少しずつ異なっても、素材の質感や色のトーンが調和してバラバラな印象を与えない
つづく