家具

“グレー”を使ったインテリアが成功するワケ

最近、「グレーを取り入れた空間」が、インテリアのトレンドとなっているのをご存じでしょうか。グレーは、どんな色とも相性が良いため、壁やソファの張地など、空間の中で大きな面積を占める部分に使われることも多い色なのです。今回は、トレンドのグレーを取り入れた住宅のインテリアコーディネート術を、インテリアコーディネーターで、本の執筆やセミナー講師もされている三宅利佳さんに解説していただきました。

映画やドラマに出てくるようなおしゃれなインテリアに憧れる。だけど、「何をどう組み合わせたらいいか分からない」「InstagramやPinterestで検索してみても、膨大なコーディネート例が出てきて何を参考にしていいか分からない…」という方も多いのではないでしょうか。

そんな方にぜひおすすめしたいのが、”グレー”を取り入れたインテリアコーディネート。グレーは、どんな色にも合う万能色で、木と合わせても相性抜群。インテリアだけでなくファッション業界でもグレーはトレンドとなっています。今回はインテリアコーディネーターの三宅利佳さんに、具体的なコーディネート例を挙げていただきながらグレーの魅力を解説いただきます。

<前回の三宅さんの記事はこちらから>

三宅利佳 Miyake Rikaインテリアコーディネーター/2級建築士/AFT色彩検定1級防衛庁(現・防衛省)公務員職員から転職。設計事務所や家具販売店と派遣ICを経て2002年よりフリーランスとなる。イベントやセミナーのほか、執筆活動も行う。

なぜ、グレーがトレンドなのか?

最近のインテリアコーディネートは、複数のインテリアスタイルを組み合わせた「ミックススタイル」がトレンドとなっているのをご存知でしょうか。「ミックススタイル」というのは、”北欧系”、”アジアンリゾート系”などと、1つのテイストにこだわらずに部屋の中でいくつかのテイストを織り交ぜたコーディネートのことを指します。さまざまなテイストを組み合わせてコーディネートする際には、素材や色の選び方に気を付けないと、統一感のない雑然とした印象になってしまいます。

ミックススタイルのコーディネートをする際に活躍するのがグレーです。グレーは、ホワイトよりも明るくなりすぎず、ブラックよりも暗くなりすぎない絶妙な色で、上品なイメージにもモダンなイメージにもマッチするうえに、色と組み合わせても違和感なく馴染む万能色。壁やソファの張地、ラグに使用するなど、大きな面積で使用しても主張が激しくならないのも◎。ミックススタイルが人気な今、コーディネートに取り入れやすいグレーにも注目が集まっています。InstagramPinterestの投稿でも、インテリアや内装にグレーを取り入れた空間が世界的なトレンドになっています。

パントン社公式HPより

さらに、色見本を提供するアメリカのパントン社(PANTONE)は、その年に影響を与える色調とテーマを予測する「カラー・オブ・ザ・イヤー」を毎年発表していますが、2021年は「アルティメット・グレイ」と「イルミネイティング(イエロー)」が選ばれており、まだまだグレーの人気は続きそうです。実際にどんなインテリアコーディネート例があるのか、見てみましょう!

実例①「グレー×ホワイト」で大人シンプルな空間に

シンプルな印象の空間にしたい場合は、グレーにホワイトやベージュを組み合わせるのがおすすめです。上の事例では、ホワイトの壁や天井にグレーのソファをセレクトしています。全体が白すぎると少々眩しくなってしまうので、床材は暗めの色を選ぶのがポイント。

グレーは大きな面積で用いても主張しすぎないので、ソファやラグなどに取り入れるのがおすすめですよ!(三宅さん)

実例➁「グレー×アクセントカラー」で垢抜け空間に

グレーはどんな色とも相性ばっちりですが、特にイエローを組み合わせるのがおすすめです。この寝室では、壁と床、ベッドカバーにグレーをセレクトしつつ、差し色にイエローのクッションを合わせることでぐっとおしゃれな印象に。

グレーとイエローの組み合わせはとても人気で、InstagramやPinterestなどで「#gray meets yellow」というハッシュタグで検索するとおしゃれなコーディネート例がたくさん出てきます。また、さまざまなトーンのグレーを複数組み合わせることで、濃淡が生まれて深みが出ますよ。(三宅さん)

実例➂「グレー×木」でほっこり感をおさえたシックな空間に

その1:薄いグレーには、薄い色の木材を合わせる

幅広い素材や色にマッチするグレーは、木材との相性もばっちり。「木がいっぱいのほっこりした雰囲気は好きではない。けれども木がもつ温かみはほどよく残したい」といった細かく複雑な要望にも応えます。ホワイトに近いグレーであれば、上の事例のような淡い色の木質建材や、無垢材であればバーチやメープル材がおすすめです。

その2:デザインのあるグレーは濃い色の木材を合わせる

模様やグラデーションなどのデザインが入ったグレーには、合わせる木材もウォルナットなどの濃い色の木材をセレクトするのがおすすめです。このコーディネートでは、壁紙にグレーのモロッカン柄の壁紙をセレクトして空間の主役としていますが、濃い色の床材を合わせているので落ち着き感のある印象としています。壁紙とおそろいのモロッカン柄のラグも敷いて、さらに統一感を演出。まるで海外ドラマに出てきそうなおしゃれな空間です!

グレーは空間の中でほどよく馴染んでくれるので、柄物でも安心して合わせることができます。(三宅さん)

いかがでしたか?もしインテリアで悩んでいたら、まずはグレーを基準にコーディネートカラーを練ってみてもいいかもしれません。

ぜひ、参考にしてみてくださいね。

<この他の三宅さんの記事はこちら>

プロが教える!失敗しないインテリアの鉄則3則

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