断熱材5種で防火認定を取得
都心部の住宅街の多くが、準防火地域および法22条区域に指定されているため、外壁に木を張ろうとすると、下地に石こうボードなどの不燃材を張ることになります。その手間から、市街地では木の外観を断念するケースも少なくありません。
一方で、住宅の高性能化が求められるようになり、断熱材を2重に入れる「付加断熱」が普及し始めています。ぶ厚い断熱層は、外壁に着火しても室内に届くのを遅らせることができます。そんな断熱層の防火性に着目した北方総合建築研究所(以下、北総研)は、各種断熱材メーカーに認定取得を呼びかけ、フェノールフォーム・グラスウール・ロックウール・ポリスチレンフォーム(押出法・ビーズ法)の5種類の付加断熱材で防火構造30分の大臣認定取得を実現しました。
北総研防火木外壁の構造
外装材の仕様
製材 | 難燃処理は不要 |
樹種 | 何でもOK |
板幅 | 100~240mm |
板厚 | 15~30mm |
板方向 | 縦張りまたは横張り |
張り方 | ①突付け ②本実 ③相じゃくり ④突付け+目板(重なり15mm以上) ⑤大和張り(外装材+目板) ⑥大和張り(外装材+外装材) ⑦よろい張り |
木材の重なり幅 | 15mm以上 |
塗料 | 各種樹脂塗料/油性塗料/合成樹脂塗料/木材保護塗料/光触媒塗料等 |
塗布量 | 520g/m2以下 |
大臣認定というと、使える建材や留付け材の種類、寸法の範囲などが決められ、認定書に記された仕様から1つでも外れると建築基準法違反になってしまいます。「北総研防火外壁」も例外ではありませんが、釘の打ち方や塗装の仕方まで「これ以上いい加減な施工はしないだろう」という仕様で評価試験を受けているため、大工さんが施工方法を変更したり、細かなルールを覚えたりする必要はなさそうです。それでも採用する際には、必ず認定書を確認するようにしてください。
狭小地ならネオマフォームが使いやすい
上記で紹介した断熱材5種のなかでも、熱伝導率0.020W /m・Kという高い断熱性能をもつネオマフォーム(旭化成建材)は、薄くても性能を発揮するため、敷地が限られた都心部の付加断熱材にはおすすめです。
ネオマフォームの原料であるフェノール樹脂は熱に強く、燃焼時にもガスを発生しにくいので、薄くても防火性能が落ちることはありません。
ちなみにネオマフォームは、付加断熱だけでなく、充填断熱でも大臣認定を取得しています。
これにより準防火地域でも不燃材を使用せずに、全面木外装が可能となりました。部分張りも場所を選ばず仕上げられるため、市街地で付加断熱を採用するメリットも高まります。
「高断熱+木の外観」の家が増えれば、快適な暮らしとセットで町並みも豊かになりますね。