在来軸組構法とC L T の融合
「meet tree NAKATSUGAWA」では、在来軸組構法にCLTを組み合わせる架構を採用しています(耐力壁は筋かい)。その利点は下記のとおり。CLTパネル構法に比べて汎用性が高く、木造住宅の設計・施工を生業としている設計事務所・工務店が取り組みやすい構法といえます。開口部の設計も比較的自由です。
A:CLTパネル構法
枠組壁構法(2×4構法)と同様に、CLTパネル壁に鉛直荷重と水平荷重を負担させる構法[平28国交告611号]。ただし、4号建築物の対象外であり、確認申請時に構造図と構造計算書を確認申請機関に提出する必要があります。開口部の配置に制約があり、壁面いっぱいの大開口を実現できません。
B:在来軸組構法+ C L T パネル
鉛直荷重は柱と梁に負担させ、水平構面にCLTパネルを使用する方法。規模(2階建て・延べ面積500㎡以下)にもよりますが、4号建築物として設計が可能。在来軸組構法と同じルート(許容応力度等計算)で構造計算を行えます。開口部の配置も比較的自由。壁倍率の認定を取得した製品(国土交通大臣認定)であれば、壁量計算を適用できます。
「meet tree NAKATSUGAWA」は防火地域に計画された平屋造り(2階建て以下)、延べ面積98.41㎡(100㎡以下)の木造建築物です。45分準耐火建築物として設計できるので、JAS構造材であれば、燃えしろ設計によって構造を見せられます。柱・梁に使用したヒノキ集成材、屋根のCLTともにJAS集成材に該当するので、燃えしろは35㎜(屋根のCLTは25㎜[※])確保する必要があります。
※ この建物では安全を見て35㎜の燃えしろを確保している
C L Tの剛性を生かしたバタフライ屋根
CLTの構造的な特徴は、厚みを生かした面外の高い曲げ剛性と、同一面内に強軸と弱軸をもつ(繊維方向を直交させながらラミナを積層することによる)材料であること。CLT1枚で、建物の隅部で2方向に水平構面を跳ね出すことが可能です。「meet tree NAKATSUGAWA」では、屋根に木曽ひのきのCLT(5層5プライ/総厚150㎜)を採用。バタフライ屋根および2方向跳ね出しとし、CLTならではのダイナミズムを前面に押し出したファサードとなっています。
屋根のCLTは5層5プライ。製造はサイプレス・スナダヤ(愛媛県)が手がけています。同社では、3層3プライ(総厚30㎜~9層9プライ(総厚360㎜)までのCLTを製造できます。45分準耐火建築物における屋根の耐火時間は30分。CLTには燃えしろを25㎜確保します[※]
※ この建物では安全を見て35㎜の燃えしろを確保している
③につづく
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林業家・丸山大知氏と建築家・成瀬友梨氏+猪熊純氏の対談は
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意匠設計:成瀬・猪熊建築設計事務所/構造設計:木講堂/施工:丸山木材工業