住宅

超簡単!冬前にやりたい庭の手入れ

戸建住宅の楽しみの1つに庭いじりがあります。今回は、春に美しい芽吹きを迎えられる庭にするために、神奈川県横浜市にある園芸店「PLANTED」を運営する園芸家の三輪善昭さんに、初心者でもできる庭のお手入れ方法を伺いました。

手入れは面倒くさい? まずは、マインドリセットを!

手入れを始める前にPLANTED」の三輪さんが話したのは、庭の手入れについてのマインドリセット。「手間はめんどくさいものではなく、豊かなもの」と切り返してほしいとのこと。

ちなみに、順天堂大学の千葉吉史研究員によると、土いじりをしている人はオキシトシンという幸せホルモンが分泌されるという研究結果も報告されています。

住まい手へレクチャーする「PLANTED」の三輪さん

植栽を植えてから半年たった庭の様子。撮影場所は茨城県の「クラスコ倉掛」(詳細は記事の最後に紹介)

なぜ手入れが必要なの?

主な手入れは「雑草の除去」と「植物の整理」。雑草のある自然な庭もよいが、雑草は生命力が強くはびこってしまい、ほかの植物が枯れたり、育成が悪くなったりするおそれがあるからです。

庭の手入れは、何十年も続いていきます。ストイックにやり過ぎず、マイペースにゆっくりじっくり時間をかけて行っていきましょう。

手入れしやすいように、庭の奥にも人が作業できるスペースを確保

手入れ前にそろえておきたい道具

庭の手入れには手入れに適した道具が必要です。まずは、プロがお勧めする使いやすい道具を紹介します。

カマ:一番大事な道具。植物の上部をスッと切ることや、刃先で土を掘ることもできる万能な道具。特に、鋸刃がお勧め。引っ掛かりがあるので草を切りやすい。カマは1人1本あってもよい必須道具

ハサミ:枝切ハサミと細めのハサミが1つずつあれば十分。ギアがついている枝切ハサミは、力を入れなくても枝を切ることができるのでラクチン

山菜掘り(ホリホリ・レジャーナイフ):直角で、土を楽に掘れる道具。刃先がギザギザなので根っこを引っかけやすい。ちょっとした堀作業をしたい場合場は、スコップよりホリホリがお勧め

シャベル:膝をついて作業ができる70㎝程度の小さいものがお勧め

熊手(レーキ):秋ごろに落ち葉をサッと集めることができる。砂利の上に落ちたゴミも集めやすい

高枝切りバサミまたはノコギリ:高木用のハサミまたはノコギリ。伸縮可能なものがお勧め。手が届かない枝をカットできる

 

植物の気持ちになって作業する庭の手入れ

道具がそろったところで、庭の手入れを始めましょう。庭が広い人は一気にやろうとせずに、「今日はココ」と範囲を決めながら少しずつやっていきましょう。

雑草の除草からスタート

庭の手入れではじめに行いたいのが、雑草の除草。生命力の強い雑草がたくさんあると、育てたい植物の成長の妨げになるからです。雑草の中でも特に注意すべきは、スギナ、ドクダミ、カタバミなどの根っこで増えていく地下茎の雑草。草を刈るだけでは完全に除去できないので、根っこから彫り上げて除去します。すべての雑草を取り除くことは手間がかなりかかるので、できる範囲で大丈夫です。

雑草なのか、植えた植栽なのかの判断がつかないときは、‎「PictureThis:撮ったら、判る-1秒植物図鑑」というアプリを使いましょう。また、除草した雑草は肥料になるので、そのまま土の上に放置でもOK。肥料になり、ゴミも出ないのでラクチンです。

根元から除去したい地下茎の雑草(フウチソウ、ギシギシ、ハイイロヨモギなど)

 

手入れの基本は「気持ちよさそうな場所にする」

雑誌の除去がある程度終わったら、植物の手入れをします。基本は、自分が植物になったときに“気持ちのよい場所になっているかどうか”で切る量や長さ、範囲などを判断しましょう。気持ちがよいとは、「風通しがよい」「すべての葉に日が当たる」「ほかの植物と絡まっていない」など。植物によって好みの環境は違うので、気になる人は調べると安心です。

植物名前を書いたネームプレートを差しておくと、調べやすい

迷ったら思い切ってカットする

繁殖力のある植物や、夏に茂った植物は思い切ってカットをしましょう。特に植物の根元は風が通らずうっそうとしていませんか? そのまま放置すると内側が枯れてしまうことも。上側だけでなく地面に近い部分もしっかり風通しがよくなるように、バサバサとカットしてします。風通しがよくなると、株も元気に育ちやすくなります。

風通しが悪かったために、根元に葉がなく、上部分しかついていない状態

倒れてしまった植物はカットする

庭をつくったばかりの頃は、植物の根がその土地に定着しきっていないのと、茎が十分に育っていないため、風や雨で倒れてしまうことがあります。その場合は、支柱などで支えたり、隣に植物を植えて支え合わせたりしましょう。めんどくさいと思ったら、倒れている茎の部分から思い切って切り、新しい丈夫な茎が生えるように促すのも1つの手です。

写真のように倒れてしまったロシアンセージは、思い切って10㎝程度茎を残して切り戻す。冬でなければ新しい葉が出てくる

枯れてしまってもドライの姿を楽しむ

植物の中には、そのままドライになり冬越しするものもあります。アジサイなど冬枯れの状態を2月末ごろにまで楽しむのもよいでしょう。枯れている姿が気になる人は、11月ごろに地上から数㎝残してカットしましょう。春に芽吹くので、根っこは掘り起こさないように注意。

ススキ系の植物はそのままドライになるので、2月まで冬の景色を楽しめる。その後、新しい目が動き出す前にカットしてリセットすると再び芽吹く

カットバックで理想の形に近づける

成長しすぎた植物を切って上げることで、背丈をコントロールしたり、お花の数を多くしたりすることをカットバックと言います。庭手入れ1年目の初心者にはなかなか難しいのですが、年を重ねるごとに自分の庭の植物がどのくらい成長するのかが肌感覚で分かるようになります。1年目でも勇気を出して、カットバックに挑戦してみましょう。

カットバックをしたローズマリー。かなりすっきりした

グランドカバーはほどほどに

植物が茂っていない頃の庭は地面の茶色部分が多いため、少し寂しく思いがち。そんなとき、「少しでも緑を」と思い、グランドカバーを植えすぎないようにしましょう。グランドカバーを代表するミントやタイムなどのハーブ類は雑草並みに繁殖力が強いので、ほかの植物を枯らしてしまうことも。生い茂ってきたら、躊躇せずどんどんカットします。ハーブ類は料理やハーブ酒などに使うと毎日が楽しくなりますよ。

道路にはみ出しすぎているタイム

ミントは繫殖力が雑草並みに強いので、どんどんカット

種は冷蔵庫に入れて保存

種が実った植物はそのまま放置しておけば、その植物のまわりで勝手に増えていきます。庭に分散させたい場合は、種を採取し袋に詰め冷蔵庫や倉庫などの涼しい場所に入れておきましょう。冬(寒さ)を体験させると、発芽しやすくなります。その他、株で増えるものやニンジンボク、ローズマリーなどは挿し木で増えます。植物を増やすことも庭の楽しみの1つです。

種は涼しいところに保管する

 

庭の手入れは、冬になる前に行いましょう。ドライを楽しみたい花は、新たに芽吹く3月初旬にはカットし、春を迎えましょう。

5年もすれば、プロになれると三輪さんがいうよう、植物との付き合いはずっと続きます。付かず離れのいい距離を保ちながら庭ライフを楽しんでください。

取材場所の紹介
2020年2月に竣工した提案型建売住宅「クラスコ倉掛」。つくば市を中心に家づくりを行う柴木材店が設計・施工を行いました。約360坪の土地に、90坪ずつに分けた4棟の家がちょうどよい距離感で建っており、引き渡しの時点ですでに豊かな植栽が植えられていました。植栽は食べられるものを含め、約300種類。落葉樹が7割、常緑樹が3割で、季節に応じて茂る草花が変化するように計画されています。今回は、夏を終えて約半年で成長した植物の手入れをはじめて行う様子を取材しました。

デザインを統一した住まいが4棟並ぶ(※写真は4棟のうち3棟を撮影)

 

取材協力:PLANTED柴木材店、クラスコ倉掛の住民の皆さん
テキスト・写真:編集部

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