住宅

耐久性と美観を両立!レッドシダーを使った木の外観デザイン4選

外壁やウッドデッキに使われる木材のなかでも、レッドシダー(ヒノキ科。和名はベイスギ、英名はウエスタンレッドシダー)は木目が詰まっており、耐久性が高く、見た目も美しい。そんなレッドシダーを使った木の外観デザインを、Instagramの投稿企画「#bコレ美しい住まいの外観」より紹介します。

1.外壁、ウッドデッキをレッドシダーで統一

相模湾を望む丘の上に建つ平屋。レッドシダーを外壁の全面に縦張りしました。荒削りのラフ面を表にすることで、木目が均一でしっかりとしたレッドシダーの表情をデザインに生かしています。耐久性を上げるために、木肌を美しく見せるクリア塗装(オリンピックステイン)を採用。

また、軒の出は900㎜とし、外壁を雨から守ます。また、夏は日射を遮り、冬は日射を取り込むように計画しました。

ウッドデッキもレッドシダーで統一。奥行きは最大1,800㎜で広々としています。ベンチや一人掛けの椅子を置いて、本を読んだり、考え事をしたり、ゆっくりと過ごせる場所になりました。

127㎜幅のサネ加工したレッドシダーが整然と並ぶ外壁。

外壁と合わせて内装仕上げにもレッドシダーを採用。窓はマービン社の木製サッシを採用

素材を統一することでデザインを整えるだけでなく、居住後に必要な建物のメンテナンスをわかりやすく、材料調達などをシンプルにすることも考慮しました。


2.外壁の一部にレッドシダーを張ってアクセントに

総2階のシンプルな形の家。南面に家の正面があるため、耐久性が高く、なおかつ家の顔にふさわしい美しい木材を検討しました。そこで選んだのが、木の部位のなかで高耐久な赤身の多いレッドシダーです。国産のスギは、赤身材だけでそろえるのはコストや流通の面で難しいことも理由です。

1階の壁面にシングル材のレッドシダーを乱張り。色味の違う木の表情と、日の当たり方によって変わる陰影がアクセントになっています。2階の壁面は黒の左官で仕上げ(ジュラクペンアート・ストーン)、レッドシダーの素材感をより引き立てました。

 

200×600㎜のレッドシダーを張った。目の詰まったテクスチャーが美しい


3. 加工しやすいレッドシダーで空中テラスを彩る

住宅が密集した市街地に建つ家。日当たりを確保するために、2階にリビングを置きました。リビング窓から出られる空中テラスは、視線を遮りながら光と風を通す木製のルーバーを採用しています。木材は、密度が低く軽量で加工しやすいレッドシダーを選びました。塗装はキシラデコールを塗布し、耐久性を上げています。

リオタデザイン@riota_s  写真:新澤一平

ルーバー材は長さ2,500㎜、幅25㎜ほどで、外から見たときに木のルーバーがベランダ床の存在を消す役割も担っています。また、ベランダ床からの高さは1,600㎜とし、人が立つとちょうど目線の高さくらいになります。

レッドシダーのルーバーがやさしく空間を包み込む 写真:新澤一平

10㎡ほどのテラスは第2のリビングとして機能しています。2階のテラスを貫くように、大きなシマトネリコの木を植えました。木の周りには手すりもかねたレッドシダーのベンチを造作し、デザインを統一しました。

20㎜のルーバーの隙間から、夜は行燈のように光がこぼれる 写真:新澤一平


4. 5種類の木を使い分けてコントラストを楽しむ

約107坪の敷地にゆったりと建つ2階建ての家。外壁は縦張りの焼杉を基調にしながら、玄関扉にヒノキ、木製サッシ・戸袋にベイマツ、軒天にはレッドシダーをあしらいました。焼杉の黒と赤みをおびたそれぞれの木のコントラストが外観に彩りを与えます。

耐久性の高いヒノキとレッドシダーは無塗装ですが、ベイマツにはクリアの自然塗料(オスモカラー)を塗布することで、耐久性と美観をアップさせました。

レッドシダーは木目が日本のスギに似ていることから、ベイスギ(米杉)と呼ばれることがあり、スギとの相性も抜群です。

ダイニングに隣接する4,000×2,100㎜のウッドデッキは、高熱処理したパイン材のサーモウッドを使用

造園は荻野寿也さんの手によるものです。さまざまな木が調和し、林の中にいるような落ち着く空間になりました。

耐久性と美しさを兼ね備えたレッドシダー。木材をどのように使うのかで、住まいのイメージは大きく変わります。また、レッドシダーは加工がしやすいので、繊細なイメージからおおらかなデザインまで幅広く対応できます。

ぜひ、木の種類、木の使い方までこだわって外観のデザインを考えてみてください。

その他の美しい住まいの外観写真をチェック!

「建築知識ビルダーズ」では、美しい住まいの外観写真をInstagramで集めました。

投稿写真を見たい方は、ハッシュタグ検索で「#bコレ美しい住まいの外観」、レッドシダーを使った外観は「#bコレレッドシダー」 をフォローすれば、全国各地の素敵な外観事例をご覧いただけます。

こちらの記事もおすすめ

「冬もカビが生える浴室」低気密低断熱住宅ルポ⑦

住宅2021/03/09

こんにちは。一級建築士の神長宏明です。私は、エアコンを24時間つけっぱなしでも月々の光熱費が1万円以下で済む高気密高断熱住宅を設計していますが、住んでいるのは【低気密低断熱住宅】です。この連載では、低気密低断熱住宅の住み心地を数回に分けてレポートしていきます。7回目は、年中続く湿気とカビの猛威についてです。

「快適な湿度を探る」低気密低断熱住宅ルポ⑲

連載2022/12/06

こんにちは。一級建築士の神長宏明です。私は、エアコンを24時間つけっぱなしでも月々の光熱費が1万円以下で済む高気密高断熱住宅を設計していますが、住んでいるのは【低気密低断熱住宅】です。この連載では、低気密低断熱住宅の住み心地を数回に分けてレポートしていきます。18回目に続き19回目は、夏の相対湿度と絶対湿度についてお話します。

「屋根の勾配・葺き方・雨樋」リオタの屋根③

住宅 建築2022/03/04

木造住宅の1つの顔ともいえる屋根。ステキな屋根をデザインするには、どうアプローチすればよいのでしょうか。本稿では、新刊『詳細図解 木造住宅のできるまで』(エクスナレッジ)の著者である関本竜太氏(リオタデザイン)が、木造屋根の設計を解説します。

「建築業と林業の連携」在来軸組でつくる木の保育所③

2021/09/10

国産材(JAS製材)を用いた非住宅の木造建築は注目すべきトレンドの1つ。ここでは、 古川泰司氏(アトリエフルカワ一級建築士事務所)が設計を手がけた「わらしべの里共同保育所」を紹介します。主として埼玉県産材を用いた準耐火建築物で、燃えしろ設計を活用した木のインテリアが特徴的です。

「真夏はつらいよ」低気密低断熱住宅に住んだルポ②

連載2020/10/09

こんにちは。一級建築士の神長宏明です。私は、エアコンを24時間つけっぱなしでも月々の光熱費が1万円以下で済む高気密高断熱住宅を設計していますが、住んでいるのは【低気密低断熱住宅】です。連載2回目は、7月~9月の実際の住み心地をレポートしていきます。

Pick up注目の記事

Top