緑の種類は方角によって変える
「インターバルハウス」は、建物の外周部に数多くの樹木が植えこまれています。ただし、樹木の配置は適当に決められているわけではなりません。方角に基づいた配置がなされています。日射の少ない北側には、モクレンやアジサイなどの耐陰性の高い樹木、とりわけ葉色が明るいものを配置しています。西側には、夏の西日に耐えられるオリーブやアカシアなどを配置しています。それでは、植えこまれた樹木を紹介しましょう。
「インターバルハウス」の間取り(3階)と樹木の配置。敷地の周囲だけではなく、インナーテラスにも所狭しと樹木が植えこまれており、リビング・ダイニングからも緑の豊かさ(四季の移ろい)を感じることができる
内部は角度を45°振ったプラン。 これは部屋のどこからでも街並みに視線が抜けるようにするため。3階の一角には人工地盤「アクアソイル工法」(イケガミ)による植栽帯を設け、建物の内部にも緑を採り込んだ
建物の南側(右奥)に見えるのが「大森ロッヂ」。瓦屋根と木板張りという昭和の風情を感じさせる佇まいに、思わず視線が引き寄せられる
南側は多数の樹木による混ぜ垣とし、建物全体で街並みに対して美しい緑景を提供している
東側は“ムーバブル”がコンセプト。ナーセリーポット入りの果樹をランダムに配置し、必要に応じて自由に動かせるようにしている
緑を美しく見せる外壁材と窓との取合い
「インターバルハウス」の外壁には、一般的な戸建住宅でよく使用されている木目調の窯業系サイディングが使用されています。ただし、窓との取合い部分は、通常の納まりとは異なります。下の図は、「エクセレージ・親水14木目調」(ケイミュー)とアルミ樹脂複合サッシ「防火戸FG-L 」( LIX I L)との納まり図。
通常は半外納まりとしていますが、「インターバルハウス」では、枠廻りをすっきり見せるために、サッシをやや内側に取り付けている(上)。標準納まり(下)とは異なるため、施工に手間がかかるほか、シーリングなど、入念な防水処理が求めらるので、この納まりを採用する際には十分な注意が求められます。
「インターバルハウス」では、サッシの障子枠が壁で隠れているので、室内から見た景色がきれいに見える
「運ぶ家」の外壁も同じコンセプト。「大森ロッヂ」に合わせて、「エクセレージ・親水14 木目調」(1階がチャコールブラウン、2階がスティルベージュ)としている。「たぐい食堂」は、古谷氏も絶賛の“和定食・おにぎり”の名店
夜間、室内をライトアップすると、室内が室外に映り込み、内と外が美しくつながる
写真=水谷綾子