材料 ― DLTのつくり方と使い方
DLTは、縦にしたラミナを木ダボで接合したローテクな積層材。丸身などの低質材や端材を有効活用できるほか、接着剤や接合金物を使用しないので、大がかりな設備投資を必要とせずに生産できます。1970年代にスイスの木構造研究者・ユリウス・ナッテラー(Julius Natterer)氏が考案し、日本では長谷川萬治商店が製造・販売を行っています。
製品開発には「DLTHUT」の構造設計を手がけた宮田雄二郎氏や網野禎昭氏(法政大学/一級建築士事務所ストラクチア)が参画。「DLTHUT」はDLTを壁・屋根・床に使用した国内初の建物であり、DLTを木造建築で使いこなすための工夫が施されています。
A DLTのつくり方
DLTは、板の配列⇒穴あけ⇒木ダボ打ち⇒木ダボ端部の切断という単純な工程で済むため、接着剤の塗布や圧締(プレス)の工程に用いられるような大型の製造設備が不要。集成材やCLTは大型の製造設備が必要になるので、建築の計画地から離れた工場から材料を輸送しなければならないケースが多くなってしまいます。それに対してDLTは、地元の製材工場でも製造可能であり、建築工事過程でのエネルギー負荷が小さくなります。
※2 木ダボには広葉樹(ブナ)を使用
B 4m材と2m材で6mの屋根パネルを製作
ラミナを自由に組み合わせて材の長さを調整できるのもDLTの魅力。「DLTHUT」では、「2mと4mのラミナを千鳥状に組み合わせて木ダボで一体化することで、6mのDLTパネルを製作し、梁間方向(6寸勾配)は1枚のDLTで屋根面を構成しています」(宮田雄二郎氏/宮田構造設計事務所)。
C DLTを耐力面材と一体化して使う
DLTの外側に構造用合板を張り付けて一体化している様子。DLTの動きを防止するほか、壁量計算に参入可能な耐力壁(壁倍率2.5)として機能しています。
D DLTの束ね柱と柱脚の納まり
DLTの端部に柱の機能をもたせる場合は、該当する部分を斜めビス打ちして束ね柱とし、鉛直荷重が土台・基礎に伝わるようにします。「ホールダウン金物は束ね柱に隣接するDLTの一部を切り欠いて納め、束ね柱・土台・基礎と一体化しています」(宮田氏)。
納まり ― DLTを魅せる枠廻りの設え
テクスチュアの異なる小幅板の組み合わせと、目地による陰影が見た目に美しいDLT。その美しさを引き立てるためには納まりにも十分に配慮したいところ。「枠廻りについてはDLTを枠見込み部分に伸ばすような納まりとして、木製建具との一体感を演出しています。床・壁・天井の取合いについては、ほかの集成材のような寸法精度がないので、無理に突き付けようとしても、必ずしも目地をきれいにできるとは限りません。よりよく納めるには、目透かしにしたり、押縁や幅木を取り付けるなど、取合い部分を工夫する必要があると思います」(山中氏)。
」設備 ― オフグリッドを可能にする太陽光発電
「DLTHUT」では概ね電気を太陽光発電で賄っています[※2]。太陽光発電は、薪ストーブの煙突の大きさや位置に合わせてハーフサイズの仕様にも対応した製品を採用。屋根材は横葺きのガルバリウム鋼板「AT2段式」(セキノ興産)[※3]。長野県の景観条例を考慮したうえで、意匠性や架台との相性を見極めて決定しています。太陽光発電モジュールと屋根材の接合は、金属屋根の“はぜ”と呼ばれる嵌合部分を金具で挟み込んで固定する“つかみ金具工法”を採用。金具の固定にビスを使用しないため、金属屋根に穴を開けることなく、太陽光発電モジュールを設置できます。
※2 独自開発のLPガス発電機も採用。太陽光発電で充電した電力が不足した場合、LPガス発電機が稼動して蓄電池を充電する
※3 壁量計算を行う場合、ガルバリウム鋼板は“軽い屋根”に分類されるが、屋根DLTや太陽光発電モジュール分の重量を加味して壁量計算を行う必要があるため、「DLTHUT」では“重い屋根”として壁量計算を行っている
設計:S.O.Y.建築環境研究所
木構造設計:宮田雄二郎(宮田構造設計事務所・法政大学)
施工:長谷萬+北良
設備:WOTA+北良