中価格帯で、ECに特化
「KANADEMONO」という家具ブランドをご存知でしょうか? 2018年2月に「家具金具のかなでもの」として誕生。’20年7月に「KANADEMONO」としてリニューアルしたブランドです。
家具といえば、北欧やイタリアの高級輸入家具(高価格帯)、IKEAや無印良品、ニトリに代表されるローコスト家具(低価格帯)がイメージされますが、「KANADEMONO」は中価格帯を立ち位置としています。主な取り扱い家具の価格帯は下記のとおりです。
ダイニングテーブル:49,900円~129,800円[税込]
ダイニングチェア(1脚):14,800円~43,000円[税込]
※ 2023年4月現在。2023年5月には価格改定が予定されている
コレクションの傾向を一言で表現すれば、性別と年齢層を問わず、多くの人に受け入れやすいミニマルなデザインの家具がメイン。さまざまなスタイルのインテリアに調和するほか、オフィス家具としても取り入れやすい価格設定・デザインになっています。
ビジネスモデルもユニーク。創業以来、実店舗をもたないECに特化しており、自社Webサイトの充実や積極的なWeb広告(リスティング広告やYouTube広告)を展開するなどの販促を展開しています。自社内に撮影スタジオを構え、商品の撮影を行い、自然光の良質な光の下、サイズ感や素材感・各部位の納まりなど、消費者が気になる点を写真で忠実に表現しています。
こうしたビジネスモデルを強化すべく、現に「KANADEMONO」は、‘21年より、インテリアの実例を紹介するSNS、「RoomClip」を運営するルームクリップの子会社になっています。具体的な取り組みとして、グループ化によるシナジー効果を生かして、D2C構築プロジェクト「D2C ROOM LABO(ディーツーシー・ルーム・ラボ)」に参画することを発表しています[※]。
※ D2C(Direct to Consumer)とは、事業者が企画・生産した製品を、小売店などの中間流通を挟まずに消費者に直接販売するモデル
人物像を交えて4つのインテリアスタイルを提案
ただし、ECには他の家具ブランドも力を入れており、新規参入の「KANADEMONO」としてはキャッチーな形で差別化を図る必要があります。その取り組みとして、家具を商品としてではなく、インテリアスタイルを構成する要素として提案することを、印象的なビジュアルを用いて行っています。
現在は4つのスタイル。それぞれにインテリアの世界観に即した人物の似顔絵をキービジュアルに起用しています。
Kanademono:ニュートラルなミニマルテイスト
Gemone:ラグジュアリーなモダンテイスト
Favrica:現代的なボヘミアンテイスト
Wabika:ジャパニーズのミックステイスト
Topics ’23年2月に「Nekodamono」がデビュー
猫を室内で飼う人は年々増加傾向。そのトレンドに合わせた新しいブランド「Nekodamono」が誕生しました。「KANADEMONO」のローテーブルに丸穴(φ18㎝)を開けた「ネコ穴付きローテーブル」をはじめ、ペットハウスやペットラグ、フードボウル、アートをラインアップ。愛猫との暮らしをより豊かにするアイテムがそろっています。もちろん、「ネコ穴付きローテーブル」は幅を1㎝刻みでカスタマイズ可能です。
オフィス家具も提案、体験型ショールームもオープン
一方、オフィス向けの家具も数多くラインアップされており、自由にカスタマイズしながら、空間全体をワンストップでコーディネートできます。シンプルで使い心地のよい家具は、働く環境の質が問われるなか、広告・クリエイティブ系のオフィス、建築設計事務所によくあるSOHOなどに採用され、働きたくなるオフィス環境を可能にしています。
こうしたECに特化したビジネスモデルは、コロナ禍という環境下で開花。コロナ禍が顕在化した’20年以降は売上が右肩上がりで伸長。第6期(‘21年10月~’22年9月)の売上高は、第5期の13億8900万円から54.9%増の21億5100万円を達成しました。
第6期のビジネスも順調に推移しており、’21年9月には、ユーザーからの要望も多かった体験型ショールーム・KANADEONO BASEを代々木(東京)にオープン。オンラインではどうしても表現できない“質感の確認”や“コーディネート”を体験できるようになっています。