空気の入れ替えと温熱環境の維持を両立させる「ロスナイ」
非住宅は住宅に比べて多くの換気量が求められるので、第1種熱交換換気システムの導入が好ましいです。温熱環境の維持に加え、汚染物質の除去や防音(遮音)効果も期待できます。私がよく採用しているのが三菱電機の「ロスナイ」という製品。〝ロスナイエレメント〞と呼ばれる紙を用いて、顕熱と潜熱[※]を交換する全熱交換型の換気システムです。
※ 顕熱は湿気を含まない熱(温度変化を伴う)、潜熱は湿気を含む熱(温度変化を伴わない)。顕熱と潜熱を合わせたものを全熱といい、湿度の高い日本では熱交換形換気機器が一般的
採用時の留意点は以下のとおりです。まずは「能力の大きな機種で空間全体の換気を行うよりは、能力の小さな機種を分散配置したほうがよい」ということ。居室全体の空気をまんべんなく入れ替えられます。目安として、天井埋込み型エアコンと同程度の数量を設置しましょう。
続いては「設備計画を始める段階で配置を決め、なるべく空間の中央に配置する」こと。照明や天井の仕上げなど、意匠的な要素を優先してしまうと、せっかくの能力を十分に発揮できないケースが考えられるほか、メンテナンスのしやすさも損なわれてしまいます。
滞在時間の多いオフィスでは「ロスナイ」がコスパ抜群!
最近ではオフィスやクリニック、飲食店といった用途で換気(熱交換換気)に対するニーズが高まっています。滞在時間の長いオフィスでは空間の快適性が高められるほか、かなりの省エネ効果が期待できます。
クリニックでは「診察室側を陽圧、待合室を陰圧」にしたうえで、熱交換換気を行えば、空気の流れによって院内感染のリスクが小さくなります。飲食店でも、熱交換換気は効果てきめん。特にオープンキッチンの場合は、厨房と客席をゾーニングし、調理の排気が接客側に流れないようにし、客席側で熱交換換気を行うとよいでしょう。詳細は下記の動画で紹介しています。
以上の点から判断して、「ロスナイ」の存在感は今後ますます大きくなるでしょう。
続きの動画「熱交換換気で空気の質をデザインする」はこちらから!
山田氏による人気連載記事「換気ー空気の質をデザインする」はこちらから!
山田氏のジャパンホームショー2020セミナー講演動画「いまさら聞けない!正しい換気の方法」はこちらから!
合わせて、ぜひご覧ください。