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住むと血圧が下がる?!「健康住宅」ってどんな家?

健康的な暮らしを心掛けている人は多くても、住宅と密接な関係にあることを知っている人は少ないのではないでしょうか?今回の記事では、住宅と健康がどのような関係にあるのか、またどのような環境であれば元気に過ごせるのかを最新のデータでご紹介します。

今、暮らしのなかで一番不安に感じているのは「健康」について。

暮らしのなかで今いちばん不安に感じていることについて、LIXIL住宅研究所がアンケート調査を実施したところ、33.6%の割合で「自身の健康のこと」が第1位に。経済面よりも、自分自身や家族の健康への関心が高いという結果になりました。

いま大勢の人が求めているものは、健康につながる暮らしということが分かったのです。

LIXIL住宅研究所調べ ※複数回答の回答数で算出(N=331)

 

住まいと健康の深い関係

日々の暮らしのなかで、住宅で過ごす時間は長いもの。住宅の環境は、知らず知らずのうちに健康に大きな影響を与えています。特に断熱・気密性能の低い住宅は、ヒートショックや高血圧など深刻な健康被害につながる可能性があります。

国土交通省 スマートウェルネス住宅等推進調査事業は、家を断熱リフォームした居住者の健康への影響を調査しました。すると、以下のような驚きの結果が出たのです(出典:一般社団法人日本サステナブル建築協会)。

1:断熱を確保すると、最高血圧が平均3.5mmHg低下する!

グラフを見ると、室温が低下すると血圧が上がることが分かります。さらに、その影響は高齢になるほど大きくなることも分かります。

2:室温(18℃未満:18℃以上)で比較すると健康診断結果にも差が表れる!

室温18℃未満の住宅に住む人は、18℃以上の住宅に住む人と比べて、心電図の異常所見のある人が約1.9倍、総コレステロール値が基準範囲を超える人が約2.6倍多いことがわかりました。

 

3:暖かい家に住むと病気の通院が減る!?

床付近の室温が15℃未満の住宅に住む人は、15℃以上の住宅に住む人に比べて、高血圧で通院している人が約1.5倍、糖尿病では約1.6倍多いという結果が出ています。

 

4:居間や脱衣所が暖かくなると、入浴事故リスクが低減!

居間や脱衣所の室温が18℃未満の住宅では、ヒートショックなどの入浴事故リスクが高いとされる“熱め入浴”(42℃以上)が約1.8倍に増加します。部屋間の温度差を無くすために、建物全体の温度を一定にすることが重要となります。

 

5:居間や脱衣所の室温が高いと活動量が増える!

断熱リフォームによって建物全体の室温が上昇することで、コタツが不要となったり、寒い居室が無くなることで、住宅内での身体活動時間が約30分増加することが分かっています。

 

これからは、「健康住宅」=「高断熱・高気密住宅」がオススメ!

このように、住宅と健康は密接な関係にあることがわかります。これからリフォームや新築を予定している方は、家族が健康でいきいきと暮らせる高断熱・高気密住宅を検討するのがおすすめです。

もちろんこれからは、断熱・気密性能だけでなく大きな地震に耐えられる耐震性や災害時の対策も、これからの住宅には大事なポイントです。依頼する住宅会社や工務店と慎重に相談し、後悔しない家づくりを叶えましょう!

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