狭小地で建築するときの問題点
狭小建築の構造を検討する際の、問題点は下記の2つ。
①短手方向の壁量を確保にしにくく、風や地震などの応力に耐える構造にするのが難しい。
②建物内に幅の大きな耐力壁を設けると、部屋が狭くなってしまう。
道路側(短手方向)に駐車や採光のための大開口をつくったり、室内に大空間を設けたりする場合は、短手方向の壁量をいかに確保するかが大きな課題となります。
動画で山田氏に詳しく解説していただきました。
動画の中でも紹介している事例をもとに、狭小建築でも使える解決方法を2つご紹介します。
構造的な解決方法①「耐力壁を2重にする」
関本竜太氏(リオタデザイン)が手がけた住宅「VALO」は、1階の車庫に車を2台並べて停めるため、大開口をつくる必要がありました。そこで、大開口の脇に柱心が600㎜で、壁倍率7倍相当の合板耐力壁を2列並べることで壁量を確保させました。
構造合板を両面張り(4枚張り)するため、内側部分の面材釘を後から施工できないので、合板と枠材のユニットを梁を入れる前に落とし込むといった施工の工夫が必要とされました。
構造的な解決方法②「門型フレーム構造」
中薗哲也氏(ナフ・アーキテクト&デザイン)が手がけた木造2階建ての住宅「2×ハウス」は、両面の外壁を設けないトンネルのような開放的な空間が特徴です。山田氏は、柱と梁のツーバイ材でオリジナルのラーメンフレームを採用し、この空間を実現させました。ただし、パネル部分の構造設計には高度な技術が必要とされました。
上記で紹介した2つの解決方法を狭小建築に応用することも可能です。しかし、施工手間やコストがかさんでしまいます。また、間口の狭い狭小建築では、耐力壁の幅が600㎜程度でも圧迫感を与える可能性があります。600㎜に足りなくても、合理的に耐力を得られるのが理想でしょう。
壁幅のスリム化や施工のしやすさ、構造計算の明瞭化が実現すれば、狭小建築の短手方向に大開口や開放的な室内をかなえられます。
狭小建築での設計・施工の可能性を広げる「フロッキン狭小壁」
そこで活躍するのが、柱心350㎜というスリムさで壁倍率7相当を実現した「フロッキン狭小壁」(ダイドーハント・栗山百造)です。「柱心幅350㎜(壁幅455㎜)の面材耐力壁『フロッキン狭小壁』には、狭小建築を手がけるうえで大きな魅力を感じます」と山田氏。
→フロッキン狭小壁について解説した記事「狭小建築の救世主! 350㎜のスリムな耐力壁の魅力」はコチラ
「フロッキン狭小壁」は施工も簡単!
「フロッキン狭小壁」の施工は、アンカーボルトを設置し、基礎に柱脚金物を固定。柱を組み立て、面材を専用のビスで留めるだけ。職人への複雑な指示も必要ないので、すぐに取り入れることができます。
施工手順を紹介します。
「フロッキン狭小壁」は、在来軸組構法と組み合わせられる点も評価されています。「狭小の木造戸建て住宅のみならず、需要が増えつつある、開口部の大きな木造の店舗などでも採用しやすいと思います」と山田氏。
壁幅のスリム化だけでなく、施工のしやすさや構造計算の明瞭化を実現した「フロッキン狭小壁」を使って、狭小建築の可能性を広げてみてください。
動画では、「フロッキン狭小壁」の説明と、山田氏に使い方のアイデアもお話いただきました。ぜひご覧ください。
→フロッキン狭小壁について解説した記事「狭小建築の救世主! 350㎜のスリムな耐力壁の魅力」はコチラ
商品名:フロッキン狭小壁
取材協力:山田憲明(山田憲明構造設計事務所)
ダイドーハント、栗山百造
テキスト:編集部