連載

「子育て家族には戸建てが一番な理由」低気密低断熱住宅に住んだルポ③

こんにちは。一級建築士の神長宏明です。私は高気密高断熱住宅を設計していますが、住んでいるのは【低気密低断熱住宅】です。連載3回目は、住んでみて分かった戸建て住宅の魅力をレポートしていきます。

神長家の概要
■家賃:約9万円/月(3250万円のローンを組んだときと月の返済額は大体同じ)
■立地:宇都宮駅から車で15分
■築年数:築29年(1991年8月竣工)
■延べ床面積:125.44㎡(37.94坪)
■断熱性能:築年数と天井断熱材の状況から昭和55年基準と推定(昭和55年区域区分Ⅲ・栃木県・Q値4.7)。無断熱ではなく、断熱材は気持ち程度入っている状態


間取りは、一般的な玄関ホールを挟んで、LDKと和室に分かれている。2階の15帖の洋室は神長さんの仕事部屋として使っている


子育て家族には戸建てがよかった理由

憧れの戸建てに住んでみてよかったことを語っていきます。低気密低断熱住宅ならではのメリットも…?

■プールが最高に気持ちよい!

プールで連日のようにはしゃぐ双子たち

庭に関しては夏の一番の楽しみだったプールができて、双子たちそろって「幸せだな~」と言っていました。低気密低断熱住宅の蒸し暑さを吹っ飛ばしてくれるので、プールがより気持ちよく感じるのでしょうか。そして、子どもたちがプールではしゃいでいる横には、プールに入れない汗だくの私がいます(笑)。

■とにかく走り回れる!

フラフープがマイブーム!

広い家は双子たちにとっては最高の遊び場のようです。家の中で鬼ごっこや、リビングでは縄跳びやフラフープができるので、ものすごく喜んでいます。ただし、エアコンが付いている部屋に限りますが…。


■子どもたちを無駄に叱らなくて済む

マンションに比べてよかったことは、上下左右の隣人への音の配慮がなくなったことです。双子たちに「夜だから静かにしなさい!」と怒ることがなくなりました。よくよく考えると、家にいるのに育ち盛りの子どもたちに静かにしなさいと親が何度も叱るのは、親子ともども無駄なストレスの根源だったと思います。

■夜はぐっすり眠れる

わが家の深夜の2階洋室の騒音値は、33~34dBで「郊外の深夜」に当てはまる値。図書館が40dBなので、とても静かなことがわかる

これは、家というより土地の話ですが、以前は大通りに面しているマンションに住んでいました。なので、夜は大型トラックなどの騒音に悩まされていました。今の家は、住宅街なので、びっくりするほど静かです。
ただし、低気密低断熱の戸建て住宅の場合、音だけでなくトラックや電車などの微震に悩まされることもあります。わが家はちょっとした地震でもマンションの時と比べて、揺れをすごく感じるのでちょっと心配です。

コラム「新築戸建てを成功させるための予行演習」

一戸建ての賃貸なので、2年で家賃(敷金礼金含み)+光熱費で300万円くらいお金がかかります。お金の無駄遣いだと思う人もいるでしょう。しかし、新築する上で妻と双子たちがいくつかの予行演習ができると思っています。①住みたいと思っている学区の環境、②4人家族に必要な部屋の広さや使い勝手、③子ども部屋の使い方、④庭の必要性や手間、そして、⑤高気密高断熱住宅の必要性を家族みんなで暮らしながら検証できます。家は、一生に何度も建てられないからこそ、一戸建て賃貸で実験的に住むのもアリかと思っています。


連載④「暑すぎてエアコンを追加したら、光熱費が跳ね上がった」
・暑すぎてエアコンを1台追加。光熱費が増加して…。
・エアコンと扇風機をフル稼働させて家全体を涼しくできるか!?
・本当に断熱材が施工されているのが天井にもぐる!
など、一級建築士による生活ルポをお届けします!

連載④はコチラ

テキスト:神長宏明(ラファエル設計)

前回の記事:連載②「真夏はつらいよ」

こちらの記事もおすすめ

センス0でもOK!オープン棚の5つのルール

住宅2021/02/19

おしゃれな部屋は、オープン収納の飾り方がとても上手。たくさんモノがあるのに不思議と散らかって見えません。そこには、実はあるルールがあります。今回の記事では、即実践できる、オープン棚をおしゃれに飾るコツを大公開!

間取りから始める人は要注意!美しい住宅の設計法とは

2022/12/27

設計が上手い人のつくった家は、一目見ただけで素敵だなと思う何かがあります。一方、設計があまり上手くない人がつくった家は、どこかその場に馴染んでいない感じがするものです。その違いは何か。もしあなたが「間取り最優先」で設計しているなら、要注意。3人の建築家の手法を紹介しましょう。

「国産の製材を使う」在来軸組でつくる木の保育所①

2021/08/17

国産材(JAS製材)を用いた非住宅の木造建築は注目すべきトレンドの1つ。ここでは、 古川泰司氏(アトリエフルカワ一級建築士事務所)が設計を手がけた「わらしべの里共同保育所」を紹介します。主として埼玉県産材を用いた準耐火建築物で、燃えしろ設計を活用した木のインテリアが特徴的です。

「木を魅せるディテール」木造軸組とCLT③

建築2021/12/07

成瀬友梨氏+猪熊純氏が設計を手がけた「meet tree NAKATSUGAWA」(岐阜県中津川市)は、木造在来軸組構法とCLTを組み合わせてできた4号建築物です。地元産の木曽ひのきをふんだんに使用した建物で、木造建築の可能性を示唆しています。YouTubeの動画でも、その魅力をもご覧ください!

【PR】屋根断熱が生み出す 美しい断熱住宅の秘密ー施工編ー

2023/05/29

「越屋根の家」(設計:リオタデザイン)は、その名が示すように“屋根”の美しさが際立つ木造住宅。しかし、その美しさを実現するには、断熱・遮熱対策が欠かせません。ここではポリイソシアヌレートフォーム断熱材「サーマックスRW」による断熱・遮熱とデザインの可能性について解説します。

Pick up注目の記事

Top