神長家の概要
■家賃:約9万円/月(3250万円のローンを組んだときと月の返済額は大体同じ)
■立地:宇都宮駅から車で15分
■築年数:築29年(1991年8月竣工)
■延べ床面積:125.44㎡(37.94坪)
■断熱性能:築年数と天井断熱材の状況から昭和55年基準と推定(昭和55年区域区分Ⅲ・栃木県・Q値4.7)。無断熱ではなく、断熱材は気持ち程度入っている状態
4LDKなのに使えるのは2部屋だけ
7~9月の真夏日を過ごした時の感想をデータと合わせて解説していきます!
■低気密低断熱の家で過ごす「真夏」
わが家は、家の性能でみれば昭和55年基準~平成4年基準以下になるわけですが、断熱材の施工状況から判断すると「低気密低断熱」というより、無断熱に毛が生えたくらいのレベルです。7月から9月までの真夏の期間を過ごし、蒸し暑さは無断熱の実家とそれほど変わらない暑さでした。特に2階の暑さは絶望的…。
入居当初、エアコンは1階リビングと2階の寝室に1台ずつ付いていました。15帖の洋室(仕事部屋)にはエアコンがなかったので、真夏の日中の室温は余裕で31℃~37℃以上になります。当然エアコンのない仕事部屋では仕事はできず、リビングに移動してノートパソコンで仕事をする羽目に…。用事があって仕事部屋にいるときは、夜でさえ熱中症になるかと思いました。4LDKの広い間取りの家を選びましたが、実際にはエアコンが付いている部屋しか使用できませんね。
■一方、高気密高断熱の家は…
私が設計している高断熱高気密の家の真夏の環境と比べると、ものすごい違いがあることに改めて気づいたので、ここでご紹介します。次の写真を見てください。
実はこれ、工事中の現場で測った数字です。もちろん、工事中なのでエアコンなんてありません。窓は締め切っています。つまり、外気温が30℃を超えるような日でも、冷房なしで2階の部屋は26℃以下。高気密高断熱の家は、夜に窓を開けて室温を下げておけば、次の日に外気温が30℃を超えても、室内は14時でも涼しいままなのです。これと比べてわが家は、工事中の家より暑いということになります。仕事で現場管理をしているほうが、家にいるより快適であるという事実を知りました(笑)。
■うたた寝すると風邪を引く
現在9月末で、夜は少し肌寒い日が続いています。たまにですが、私は1階リビングでうたた寝をしてしまいます。しかし、ここ最近必ずといってもいいほど夜中に目が覚めます。その理由は、足が究極に冷えてしまい寒くて起きるのです。その時の画像です。
もう一枚は、寝ている間にローソファーがずれて、床面とお尻あたりが密着していた部分が赤白くなって温度が上がっています。つまり、冷たい家に体の熱を奪われているのです!
リビングで寝ていた私が悪いのですが、うたた寝が原因で風邪を引いてしまうのは、家が体の熱を奪うからなんですね!( ちなみに、冬に窓際にいると寒いのは、冷たい窓に体温を奪われるからですなのです。)
□コラム「子どもが風邪を引きやすいのは家のせい?」
引っ越し前のマンションで実証済みなのですが、暖房をガンガンつけると、乾燥した外の空気が室内に入り、喉が乾燥し、風邪を引き起こします。そんな時、保育園や幼稚園に預けているわが子が熱を出すと、仕事を早退したり、休んだりしなきゃいけないのは、「ママ」のほうが多いのではないでしょうか? そして、小児科に連れて行って、次の日は母子ともにお休みという流れになります。
わが家の双子たちは、1歳になったときに妻が勤務する託児所保育園に預けたのですが、1か月に2回もアデノウイルス感染症にかかり、妻が出勤できたのはわずか3日でした。そのあと妻は1カ月で仕事を辞め、子どもも退園しました。
そんな苦い経験もあって、下記のアイテムで「プチ断熱改修」をマンション住まいのときに行いました。
窓にプチプチを貼ったり、カーペットの下にアルミシートを敷いたりしたところ、夜まで無暖房でも大丈夫になりました。外気温3℃でもリビングは無暖房で19.1℃です。光熱費もかなり減りました。
プチ断熱の工夫前は11月から2月まで、月に1回~2回は風邪を引いていましたが、この工夫によって暖房の稼働時間が減り、喉の乾燥から引き起こされる風邪はなくなりました。特に双子たちの風邪が劇的に減りました。
今住んでいる低気密低断熱住宅でも、冬はこの工夫が必要になるのではないかと思います。しかし、戸建てはマンションとは違って、窓以外からも熱が逃げるので、これだけで寒さを防げるのかは不明です(恐怖)。
テキスト:神長宏明(ラファエル設計)
前回の記事:連載①「家の性能より立地を優先」