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「中価格帯のスタイルを提案」 ―「KANADEMONO」の家具・インテリア―①

中価格帯&ECに特化した家具ブランド「KANADEMONO」。シンプルで、どのようなスタイルのインテリアにもなじむアイテムは、SNSを中心に評判となり、住宅のみなならず、オフィスや店舗でも採用が増えています。コンセプトや商品の特徴、スタイリング例などについて2回に分けて解説します。

中価格帯で、ECに特化

「KANADEMONO」という家具ブランドをご存知でしょうか? 2018年2月に「家具金具のかなでもの」として誕生。’20年7月に「KANADEMONO」としてリニューアルしたブランドです。

 

フラッグシップモデルといえるダイニングテーブル「THE TABLE」は、天板(ラバーウッド、スギ、長良桧、リノリウムなど)と、50種類以上の脚(金属)を自由に組み合わせて、幅・奥行きを1cm単位でサイズオーダーし、カスタマイズすることが可能なアイテム。インテリアのコアとなるダイニングテーブルを、内装の雰囲気や好みに合わせて自由に選択できるのが人気の秘密

 

家具といえば、北欧やイタリアの高級輸入家具(高価格帯)、IKEAや無印良品、ニトリに代表されるローコスト家具(低価格帯)がイメージされますが、「KANADEMONO」は中価格帯を立ち位置としています。主な取り扱い家具の価格帯は下記のとおりです。

 

ダイニングテーブル:49,900円~127,300円[税込]

カフェテーブル:32,700円~69,000円[税込]

ローテーブル:9,500円~74,800円[税込]

シェルフ: 39,900円~63,200円[税込]

ダイニングチェア(1脚):14,800円~35,500円[税込]

ソファ:69,500円~127,000円[税込]

 

コレクションの傾向を一言で表現すれば、性別と年齢層を問わず、多くの人に受け入れやすいミニマルなデザインの家具がメイン。さまざまなスタイルのインテリアに調和するほか、オフィス家具としても取り入れやすい価格設定・デザインになっています。

ビジネスモデルもユニーク。創業以来、実店舗をもたないECに特化しており、自社Webサイトの充実や積極的なWeb広告(リスティング広告やYouTube広告)を展開するなどの販促を展開しています。自社内に撮影スタジオを構え、商品の撮影を行い、自然光の良質な光の下、サイズ感や素材感・各部位の納まりなど、消費者が気になる点を写真で忠実に表現しています。

 

 

うしたビジネスモデルを強化すべく、現に「KANADEMONO」は、‘21年より、インテリアの実例を紹介するSNS、RoomClip」を運営するルームクリップの子会社になっています。具体的な取り組みとして、グループ化によるシナジー効果を生かして、D2C構築プロジェクト「D2C ROOM LABO(ディーツーシー・ルーム・ラボ)」に参画することを発表しています[※]

 

「D2C ROOM LABO」では、ルームクリップがもつSNSとネット通販プラットフォームを中心に、実例写真から分析されたトレンド情報や定量的なデータについての知見や、D2Cブランドを運営している当社のノウハウなどを活用し、住領域事業者と共にD2C構築を目指している。第一弾として、創業136年の畳製品老舗企業イケヒコ・コーポレーションのD2C化支援プロジェクトを開始。’22年4月には「TATAMI 国産のい草をつかった 置き畳 4.5畳」「TATAMI 沖縄で育った い草をつかった 贅沢なゴザ 130 × 200・191 × 191」などを発売した

※ D2C(Direct to Consumer)とは、事業者が企画・生産した製品を、小売店などの中間流通を挟まずに消費者に直接販売するモデル

 

人物像を交えて4つのインテリアスタイルを提案

ただし、ECには他の家具ブランドも力を入れており、新規参入の「KANADEMONO」としてはキャッチーな形で差別化を図る必要があります。その取り組みとして、家具を商品としてではなく、インテリアスタイルを構成する要素として提案することを、印象的なビジュアルを用いて行っています。

現在は4つのスタイル。それぞれにインテリアの世界観に即した人物の似顔絵をキービジュアルに起用しています。

 

Kanademono:ニュートラルなミニマルテイスト

インナーグリーンが充実したアトリエ空間。テーブルには、自然をテーマにした「 THE TABLE / ラバーウッドN × Colored Steel 全8色 NATURE( W :150cm D :65cm )」をセレクト。アイアン脚はソフトなグリーンカラーのEucalyptus(ユーカリプタス)とし、個性的ながらも自然と心地よく調和するテーブルに仕上げている

 

Gemone:ラグジュアリーなモダンテイスト

家のような落ち着きを感じさせるミーティングルーム。テーブルには、和モダンの雰囲気を醸し出すチークブラウンの 「THE TABLE / ラバーウッドT × Black Steel( W :300cm D :80cm )」をセレクト。ポリカーボネート、プライウッド、ファブリックと素材もデザインも異なる3種のチェアを組み合わせ、落ち着きのなかに、クリエイティビティを刺激する要素を盛り込んでいる

 

Favrica:現代的なボヘミアンテイスト

大きな格子窓の外に広がる豊かな自然と調和する開放感にあふれる1ルーム。壁際のテーブルには、ラバーウッド天板と最もシンプルなアイアン脚を組み合わせた「 THE TABLE / ラバーウッドA × Black Steel( W :160cm D :50cm )」をセレクト。ローベッドとローソファ、床でまったりとくつろげるボタニカル柄のラグやプフを組み合わせて、目線を低くすることで、空間を広く見せている

 

Wabika:ジャパニーズのミックステイスト

天然い草の置き畳を和モダンなインテリアのリビングに取り入れた。「TATAMI 国産のい草をつかった 置き畳 4.5畳」と、アイアン脚のプロダクトと組み合わせで、空間全体が一層凜とした雰囲気に。素材感のバランスが取れている。リビングの一角はワークスペースとして、「 THE TABLE / ラバーウッドA × Black Steel( W :150cm D :75cm )」を設置。オンオフの生活時間の違いを、“間”をテーマにしながらひとつの空間に実現

 

オフィス家具も提案、体験型ショールームもオープン

一方、オフィス向けの家具も数多くラインアップされており、自由にカスタマイズしながら、空間全体をワンストップでコーディネートできます。シンプルで使い心地のよい家具は、働く環境の質が問われるなか、広告・クリエイティブ系のオフィス、建築設計事務所によくあるSOHOなどに採用され、働きたくなるオフィス環境を可能にしています。

 

「KANADEMONO 」では、経験豊富な専任のインテリアコーディネーターによる、空間トータルコーディネートサービスを無料で提供しており、上図のような提案ボードで家具のセレクトと配置をアドバイスしてくれる。予算50万円以上からの対応が可能

白を基調とし、視線が抜けるスタイリッシュなスチールサッシの間仕切りで構成された開放感にあふれるオフィス。テーブルやチェア、ソファ、ラグ、ペンダントライトをはじめとする「KANADEMONO」のアイテムは空間になじみ、快適性も抜群

ファニチャーリノリウム素材のブラウン (Mauve)天板と、マットブラックのアイアン脚を組み合わせた「THE TABLE / リノリウム Mauve × Black Steel 」を6台組み合わせてテスクスペースを構成。落ち着き感のあるブラウンと、小口のオーク突き板(芯材はパーティクルボード)がアイストップになっている

 

こうしたECに特化したビジネスモデルは、コロナ禍という環境下で開花。コロナ禍が顕在化した’20年以降は売上が右肩上がりで伸長。第5期(‘20年10月~’21年9月)の売上高は、第4期の5億8653万円から136.8%増の13億8909万円を達成しました。

第6期のビジネスも順調に推移しており、’21年9月には、ユーザーからの要望も多かった体験型ショールーム・KANADEONO BASEを代々木(東京)にオープン。オンラインではどうしても表現できない“質感の確認”や“コーディネート”を体験できるようになっています。

 

会員限定の体験型ショールーム・KANADEMONO BASE。両壁面(左壁面 : 天板&脚スペース/右壁面: チェア&ソファ&インテリア小物/ライティングスペース)にずらりと商品が並べられた特徴的なレイアウトは、来場者が自由にコーディネートできるスペースを確保するために考え出されたもの。がらんと開かれた中央部分に、壁面から商品を取り出して色々とコーディネートを試すことができる。建築現場で利用される足場を利用して棚をあしらえている点もユニーク。完全予約制で、営業時間は平日の11:00~18:00(12:00~13:00は一時クローズ)

 

②につづく

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