3D設計・プレゼン時代のハイエンドPC(2)

BIMなどの3D-CADやVR、レンダリングなどに対するニーズは日増しに高まっています。ただし、こうしたソフトウェアには、それなりのハードウェアが必要です。ここでは、PCを選ぶために必要となるスペックの見方について解説します。

はじめに

「建築知識2020年7月号」(建築と背景画の3DCG最新技術)は、発売5日目にして増刷となりました。BIMなどの3D-CADやVR、レンダリングなどに対するニーズの高まりの結果といえるでしょう。ただし、こうしたソフトウェアを活用するには、それなりのハードウェアが必要です。
 ここでは、Windows PCを選ぶために必要となるスペックの見方(部品の名称・能力)について解説します。今回はメモリとHDD・SSDについてです。

 

メモリ

DRAMでは最低16GBが必要

MPUやGPUの演算処理をサポートするためには、記憶装置(半導体メモリ)が必要です。これらに使用されるのは、電源を供給していないと記憶できない(一時的な記憶しかできない)揮発性メモリ。筆算を行うときのメモのようなもので、計算が終了すると記憶は必要なくなるので消去されます。
 M P Uの作業をサポートするのはD R A M(Dynamic Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ。その能力はメモリ容量に比例するため、とにかく大容量のものを選びたいところ。現在では、ギガバイト(GB)クラス以上が当たり前。BIMを導入するのであれば最低16GB、高精細なレンダリングを行うのであれば最低32GBの容量を確保しましょう。
 一方、GPUにはGPU専用のメモリがグラフィックボード内に搭載されています。VRAM(Video Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ。グラフィック
ボードの仕様を決定する際には、GPUのスペックだけではなく、VRAMの容量も確認しましょう。「NVIDIAGeForce RTX 2080 Ti」(NVIDIA)は11 GBのVRAMを内蔵しています。

DRAM

MPUをサポートするメモリ。ボードに複数のチップを搭載したメモリモジュールとして内蔵される。PCによっては、モジュールを増設して容量を増やすことも可能

  

 

 

 

 

 

 

HDD・SSD

高速動作にこだわるなら1TBのHDD

PCで制作したデータやファイルは、必要に応じて保存する必要がある。その記録媒体として、長らくPCに内蔵されてきたのがHDD(Hard Disk Drive )。磁気的にソフトやファイルを保存しておく記憶装置。円盤が高速回転することによって記憶を行います。HDDの性能は、容量と回転数( 1分間当たり)で決まります。容量では1テラバイト(TB)、回転数では7,200rpmが目安。回転数5,400rpmは速度が遅いので注意しましょう。
 ただし、H D D は大容量のデータを保存するのに適しているもの、システムやファイルの起動に時間がかかる、という欠点があります。特に、P C の電源を入れて画面が起動するまでの時間にストレスを感じる人は少なくないでしょう。それを嫌うのであれば、ぜひ、SSD(Solid State Drive )の採用、もしくはS S D との併用を検討
するのが望ましいです。
 SSDとは半導体メモリの一種で、東芝(現キオクシア)が1987年に開発したNAND型フラッシュメモリ。不揮発性メモリの一種で、DRAMとは異なり、電源を供給し
ていなくても記憶が消えません。スマートフォンやデジタルカメラには必要不可欠なデバイスであり、低消費電力で大容量化かつ小型化が可能なことから、2000年代に入って爆発的に普及しました。HDDとは比べ物にならないくらいの読み込み速度・書き込み速度を有しているのが特徴です。
 こうしたNAND型フラッシュメモリの特徴を生かして開発された記憶装置がSSDである。SSDあれば、特にPCの起動や終了が非常にスムーズなものとなるでしょう。容量としては最低256GBを確保しましょう。HDDよりも単価は高いが、最近では1TB品なら、比較的安価(10,000円程度)に入手できるので、いっそのことSSDのみの搭載としてもよいかもしれません。

HDD

内蔵された円盤が高速に回転することでデータの書き込み・読み出しを行うHDD。大容量のデータを保存するのには向いているが、動作が遅く、音が耳障りなどの弱点がある

 

 

 

 

 

 

 

 

SSD

NAND型フラッシュメモリを内蔵した記録媒体。SDカードと機能は同じ。搭載すれば、PCの起動時間をスマートフォンのように圧倒的に短縮できる

 

 

 

 

 

 

 

MPUとGPUについての記事 3D設計・プレゼン時代のハイエンドPC(1)はこちら

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