2. 小屋組
在来軸組構法で設計を行う場合は、構造(力の流れ)を感じられるよう、多くのケースで小屋組を見せるデザインを採用します。ただし、高さ制限などで十分な階高が確保できず、断熱層・垂木の高さにより、実質上の天井高が低くなるケースもあるので、小屋組を見せられない場合もあります[A]。
小屋組を現しにする際は伝統的な束立て式ではなく、登り梁形式とすることもよくあります[B]。小屋梁や小屋束、火打ち梁などがインテリアとして立ち現れてくると、狭小空間では目障りに感じられるからです。断面の大きな梁を使用するのではなく、ディメンションランバーなど見付けの小さい梁を細かいピッチで並べて、天井全体を構造の“面”として見せるのが好きですね[C]。
A 天井高が確保できない場合(小屋組を見せない)
B 天井高が確保できる場合( 小屋組を見せる )
C 小屋組を“ 面 ”として見せる( ディメンションランバー/製材/LVL+鉄 )
3.屋根の素材
屋根材は、陸屋根を除いては原則的にガルバリウム鋼板を使用しています。軽くて耐久性があり、メンテナンスフリー。シャープな印象を与えてくれます。役物(棟換気・けらば・鼻隠し・雨樋・小庇など)も同素材で仕上げられます。特に、「耐摩カラーSGL」(日鉄鋼板)は昔からの定番。色のバリエーションも多く、意匠の幅も広がります。
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