日本構造家倶楽部が主催する「日本構造デザイン賞」は、構造設計者の優れた業績を表彰し、さらなる構造デザインの発展を目指すことを目的として実施されています。2021年に第16回を迎え、7月28日に受賞者2名が決定しました。
坂田涼太郎/土佐市複合文化施設
一人目は「土佐市複合文化施設」(設計:マルアーキテクチャ・聖建築研究所設計共同企業体)の構造設計を手がけた坂田涼太郎氏(坂田涼太郎構造設計事務所)。地上4階のS造で免震構造を採用。特に、2層吹抜け空間のホールでは、スチールプレートを木材で挟み込んだ透過性のある斜格子耐力壁を組み込み(写真右)、構造性能を確保しながら開放感のあふれる設えとしています[写真=中村絵]。
島村高平/大成建設技術センター風のラボ
二人目は「大成建設技術センター風のラボ」(設計:大成建設一級建築士事務所)の構造設計を手がけた島村高平氏(大成建設構造設計部室長)。地上2階の木造建築で、5層7プライのCLT(Cross Laminated Timber)を用いています。大判のCLT(3枚)による傾斜門型ユニットを奥行き方向に連続させ、それぞれのユニットを鋼製ロッドで連結することで、構造を成立させています[写真=アダボス]。
加えて、構造デザインの発展に長年貢献した諸活動が顕著な個人に対して表彰される「松井源吾特別賞」も同時に発表されています。今回は「関西国際空港旅客ターミナルビル」(写真)や「箱根仙石原の研修ホテル」「東京ベルギー大使館」などの設計を手がけた岡部憲明氏(岡部憲明アーキテクチャーネットワーク)が受賞しました。建築デザインにおけるエンジニアリング的思考の展開が高く評価されました[写真=樋渡貴治]。
授賞式・記念講演会は8月27日(金)の15:30より、東京デザインセンター B2階「ガレリアホール」(東京都)で実施されます。一般の方はZoomやYouTubeによるライブ配信を視聴することも可能です。式典の詳細は、日本構造家倶楽部公式HPをご確認ください。