「重力換気で快適性を高めた住まい」換気-空気の道をデザインする③

家にいる時間が圧倒的に増えることによって、俄然注目を浴びるようになった“換気”。設備設計者として第一線で活躍し、多くの著書を執筆している山田浩幸氏が、家における正しい換気の方法について解説します。

はじめに

人が家のなかで快適で安全に過ごすために、換気は重要な要素です。最近ではリモートワークの普及が進み、自宅で過ごす時間が確実に増えました。適切な換気はウイルス感染症対策にも有効であるといわれています。
 では、換気は具体的にどのように行えばよいのでしょうか? 本稿では、「換気の目的とメカニズム」「換気の方法(自然換気と機械換気)」「夏の換気・冬の換気」について、設備設計者として数多くの建物にかかわり、『世界で一番やさしい建築設備』『エアコンのいらない家』『建築設備パーフェクトマニュアル』『ストーリーで面白いほど頭に入る建築設備』(いずれもエクスナレッジ刊)の著者としてもおなじみで、ジャパンホームショー2020において「いまさら聞けない!“正しい換気”の方法」(11月12日)というテーマで講演を行う 山田浩幸氏(yamada machinery office[ymo])に、それぞれのポイントを解説していただきました。

 

3 重力換気で快適性を高めた長屋

 今回は、山田浩幸氏と建築家 加藤克彦氏(TENJIN STUDIO)の共同設計によって計画された木造2階建ての重層長屋「納谷森」(2016年)について紹介します。夏の暑さで全国的に知られる東京都練馬区に立地した建物。南面の大開口と、階段室、越屋根に設けた高窓により重力換気を可能にして、十分な換気量の確保と、エアコンに頼らない夏の快適性を両立させています。実際にエアコンは設置されていません。しかしながら、居住者の満足度は非常に高いとのことです。[写真:福岡将之]

「納谷森」はオーナー住戸(写真下)と賃貸住戸の構成。賃貸住戸の内壁は、その大部分がスギ羽目板張りで仕上げられている

内装は柱を現しとするなど、木を基調とするインテリア。南側の窓から取り込んだ風はオープン階段(吹抜け)越しに2階へと上昇する

屋根・外壁ともにガルバリウム鋼板立はぜ葺きとしスタイリッシュに仕上げた。北側の越屋根には高窓が3つ設置されている

南側の外は畑や庭になっており、はっきりとした境界壁などはなく、居住者どうしがふれあう場としても機能している

④につづく

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