「SGY」は中庭と2つの坪庭を内包するコートハウス。設計は、『最新版 最高に美しい住宅をつくる方法』など、数々の著作をもつ彦根明氏+狩野翔太氏(彦根建築設計事務所)、植栽は『荻野寿也の「美しい住まいの緑」85のレシピ』の著者として知られる荻野寿也氏(荻野寿也景観設計)が手がけています。
平面図(上が1階・下が2階)からも読み取ることができるように、京都の川床をイメージした中庭を囲む回遊性に富んだ間取りで、建物内のどこからでも庭の樹木を眺められます。1階はスキップフロアとして庭や空の見え方に変化をもたせています。床レベルをダイニングより800㎜下げたリビングでは、庭と空が視界に飛び込みます。それは、開口部や吹抜けの配置も庭の見え方を意識してのもの。場所によっては、中庭と坪庭の双方に視線が導かれるので、森のなかに佇む別荘にいるかのような感覚が得られます。
上の写真からも読み取れるように、夜になれば、内と外のつながりをより一層感じられるでしょう。それを可能にしているのは、光と影の方向を意識した照明計画。庭のライトアップといえば、地面からのアッパーライトが主流。ただし、下からの光は方向が不自然であり、地明かりがないので、ウッドデッキや砂利、グランドカバーをはっきり見せられません。
一方、「SGY」では、建物上部に取り付けたスポットライトで庭をライトアップ。上からの光は、月明かりと同様なので自然な印象を与え、地面の明るさ感も申し分ありません。窓越しの庭を美しく見せられます。
②につづく