建築

不動産的思考から学ぶリノベ最前線①

空き家や遊休不動産。問題と言ってしまえばそれで終わりですが、うまく活用するチャンスは眠っています。今回は、不動産コンサルタントを務める創造系不動産の高橋寿太郎氏に、不動産活用の手法、建築家が不動産コンサルタントと協業するメリットを解説してもらいました。

億単位のプロジェクトを 前に進める確かな提案力
創業10年の創造系不動産は、不動産コンサルティングを行う会社です。同社の2019年時点の売上種別を見ると、非住宅プロジェクトの割合が50%を超えてます。そのなかでリノベーションの割合はおよそ半分。空き家や遊休不動産を活用するニーズを考えると、今後、非住宅のリノベーションプロジェクトはさらに増えていくことが予想されます。そのような比較的大きなプロジェクトは、どのように進行していくべきなのでしょうか。

不動産のコンサルティングを行う同社では、過去200人以上の建築家と協業した実績があります。そのなかで、特に多い問い合わせ内容について代表取締役の高橋寿太郎氏にうかがいました。
 「建築家から一番多い相談は、お金のことです。たとえば、実施設計に入ろうとしたが、金融機関からの融資が下りなくてプロジェクトが止まってしまった、といった内容です。次に多いのは、不動産活用の相談です。建築主(オーナー)からの要望も漠然としていることが多いので、企画から提案するプロジェクトになるのですが、経営戦略もかかわるため、建築家だけ進めるには荷が重すぎます。これらの相談内容の共通点は、建築と不動産とお金、それぞれの専門知識や技術が必要となるということです」。


同社の強みは、不動産やお金のプロであることに加え、建築に対する理解も併せ持っている建築設計経験者のコンサルタントが在籍していること。上記の問題を解決するために、プロジェクト初期の段階から依頼主である建築家と不動産コンサルタントがプロジェクトの全体像を共有しながら進めていくそうです。その際に、プロジェクトを「V(ビジョン)→F(ファイナンシャル)→R(リアルエステート)→D(デザイン)→C(コンストラクション)→M(マネジメント)」の6つのフェーズに分けて進めていきます。


協業のメリット

一般的には、専門分野で分かれてしまう内容ですが、あえて不動産コンサルタントと建築家が協業してプロジェクトを進行するのは、大きく2つのメリットがあるから。

1つ目は、キャッシュフローを明確にできることです。プロジェクトに対して経営戦略を練るといってもよいでしょう。イニシャルコスト、家賃、修繕費、固定資産税、金利などのお金の流れが、1年、10年、30年でどのように変わるのかを不動産コンサルタントは示すことができます。プロジェクトを進行しながら金融機関との協力態勢を構築できれば、建築家も安心して設計業務を行えます。

2つ目は、プロジェクトへの説得力が増すことです。建築家がどんなに魅力的なイメージや図面を提案しても、億単位の費用を投資する建築主のお金に関する不安は払拭されにくい。不動産コンサルタントがキャッシュフローを提示することで、プロジェクトを前に進める根拠が明確になるため、建築主も安心して投資することができます。

また、建築主に、修繕費用など未来のコストを示すことで、建築家にとっては“次の仕事の約束”にもつながることもメリットでしょう。

事業計画から完成後の不動産管理までのキャッシュフローを関係者で共有する仕組みをつくる


このように、空き家や遊休不動産を扱うプロジェクトは、建築家が得意とする分野と不動産が得意とする分野をお互いが共有することで、スムーズに進行させることができるといえます。「お互いの専門的な知見を交えながら同時進行でプロジェクトを進めることで、建築の可能性を広く深く探ることができます」(高橋氏)。

次回は、建築家と不動産コンサルタントが協業して進めた、築55年のビルの改修プロジェクトを紹介します。

不動産的思考から学ぶリノベ最前線②

 

撮影:グランドレベル

取材先:創造系不動産

テキスト:編集部

 

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