日本構造デザイン賞が決定、書籍も刊行。

今年で17回目を迎える「日本構造デザイン賞」が決定しました。江坂佳賢氏(日建設計)、黒岩裕樹氏(黒岩構造設計事ム所)の2名が受賞。「松井源吾特別賞」には川口健一氏(東京大学教授)が選ばれました。主催の日本構造家倶楽部は、構造デザインに関する書籍も刊行しています。

 日本構造家倶楽部が主催する「日本構造デザイン賞」は、構造設計者の優れた業績を表彰し、さらなる構造デザインの発展を目指すことを目的として実施されています。2022年に第17回を迎え、7月7日に受賞者2名が決定しました。

 

ヤマト港南ビル/江坂佳賢

 一人目は「ヤマト港南ビル」(設計:日建設計)の構造設計を手がけた江坂佳賢氏(日建設計)。地上10階建てのS造・SRC造で、ヤマトグループ創業100年を記念した、旧ビルの建て替えによって誕生した建物。

 建物外周のスロープをミュージアムとして活用しているほか、このスロープの上下は車路となっており、トラックが走ります。ヒトと車の領域が交互に表出するスパイラル状のファサードが特徴的です。

 江坂氏はこのほか、「東京スカイツリー」「有明体操競技場」「選手村ビレッジプラザ」など、著名な建築の構造設計を手がけています[写真=雁光舎(野田 東徳)]。

 

 

黒岩裕樹/神水公衆浴場

 二人目は「神水公衆浴場」(設計:竹味佑人建築設計室+ワークヴィジョンズ)の構造設計を手がけた黒岩裕樹氏(黒岩構造設計事ム所)。木造2階建てで、1階が銭湯、2階が住宅というユニークな構成。

 在来軸組構法でありながら、2階の屋根(写真)は、150㎜厚のCLT(Cross Laminated Timber)による丸屋根。内装全体が柔らかな木質空間になっています[写真=小川重雄]。

 本建物は熊本地震(2016年)の後に計画されており、「キッチンは道路に面して、災害時は炊き出しの場に」というように、さまざまな災害に対する工夫も盛り込まれています。

 

 

松井源吾特別賞は川口健一氏

 加えて、構造デザインの発展に長年貢献した諸活動が顕著な個人に対して表彰される「松井源吾特別賞」も同時に発表されています。

 今回は「ホワイトライノ II Tensegrity Tower」[写真=東京大学川口建一研究室]の構造設計を手がけ、著書に史上最強カラー図解 プロが教える建築のすべてがわかる本』(ナツメ社)をもつ、川口健一氏(東京大学教授)が受賞しました。空間構造デザインの学術と実践および国際活動が高く評価されています。

 

 

 授賞式・記念講演会は8月26日(金)の15:30より、東京デザインセンター B2階「ガレリアホール」(東京都)で実施されます。一般の方はZoomによるライブ配信を視聴することも可能です。式典の詳細は、日本構造家倶楽部公式HPをご確認ください。

 

日本構造家倶楽部が書籍を刊行

 加えて、日本構造家倶楽部では この 30 年間の構造界の潮流を記録に残し、次代のさらなる 発展 に資する ことを目的として『多様化する構造デザイン ー未来へと繋ぐ平成時代の軌跡― 』(建築技術)を2022年5月に刊行。

 現代の構造デザインに想いを巡らせるシンポジウムを8月4日(火)に実施します。ご興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。

 

 

日時  8 月 4 日(木) 16:00~19:00
会場 日本大学理工学部駿河台校舎 タワースコラ1階
参加費 一般:1,000 円 学生: 500 円
参加申込先 https://ws.formzu.net/dist/S274164684/

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