神長家の概要
■家賃:約9万円/月(3,250万円のローンを組んだときと月の返済額は大体同じ)
■立地:宇都宮駅から車で15分
■築年数:築30年(1991年8月竣工)
■延べ床面積:125.44㎡(37.94坪)
■断熱性能:築年数と天井断熱材の状況から昭和55年基準と推定(昭和55年区域区分Ⅲ・栃木県・Q値4.7)。無断熱ではなく、断熱材は気持ち程度入っている状態
洋服が散らかって収拾がつかない
公開することを躊躇しましたが、リアルなわが家の様子をお見せしましょう。
これが現状です……。
さて、この光景を見て、びっくりした人、わが家もそうだ!と思った人もいるでしょう。なぜこんなことになってしまったのか。原因を深堀します。
寒くて洗面室で服を脱げない!
冬はとにかく寒いわが家。1階リビングと2階の仕事部屋はエアコン暖房、寝室にはデロンギのマルチダイナミックヒーターをつけています。下記は2022年1月2日の朝6時の状況ですが、暖房をしていない部屋との室温差は約10℃以上もあります。
当然、暖房のない洗面室の室温も10℃以下です。入浴前、子どもたちは暖かいリビングで洋服を脱ぎます。毎日洗濯するわけではないので、リビングに脱ぎ散らかした洋服が溜まります。
寒くて部屋干ししても乾かない!
わが家は、妻が花粉症なのに加えて、私が中学生のときに外に干していたパンツに蜂が潜んでいて思いっきりお尻を刺されたトラウマの影響もあり、室内干しにしています。
しかし、上記で触れたように暖房をしている部屋以外は寒いので、部屋干ししても洗濯物が乾きません。そのため、暖房をしているリビングで干すことになります。
乾いた洋服を片付けるのが億劫!
2階の仕事部屋に併設されたWIC(ウォークインクロゼット)や、寝室に洋服収納棚があるのですが、洗濯室として機能しているのが1階リビングなので、2階の各収納に毎回しまいに行くのはズボラだと難易度が高い。そうなると…
乾いた洋服たちは2階の階段ホールの手摺壁に積みあがっていくのです。
さらに、コートなどの長物は、2階の納戸(南側の洋室)のWICの入口にかけられています。WICの入口が防がれてしまうので、ホールに服が溜まる原因にもなっています。収納と家事動線がバラバラだと、こんなことになってしまうのです。大きなリビングもよいですが、生活の場である住まいには収納の充実も大切なことを身をもって体験しています。
子どもたちが冷たい洋服を着ない
更なる悪循環が…。冬場は階段ホールに積み重なった洋服たちは冷たくなっています。そのため、ローテーションで着る服(パーカー、トレーナー、スウェットなど)は、リビングに置きっぱなしになっています。
「服を脱ぐ」「服を着る」「洗濯をする」「洗濯ものを干す」「洗濯したものを収納する」という一連の流れが、動線としてリビングで完結していますね…って、もっともらしいことを言っている場合ではない!(涙)
こうして、脱ぎ散らかした服と乾きかけの服、置きっぱなしの服でリビングはカオスになってしまいました…。
ちなみに、息子は服を着た後にコタツで温めていました。
間取りの工夫で散らからない家になる!
こういった経験をもとに、最近設計する家は特別な指定がない限りは、1箇所で「洗濯→干す→仕舞う」を完結できる動線を提案しています。
「湿気は大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、高気密高断熱の家は室内の空気がしっかり循環するので、このような小さなスペースでの室内干しも可能になります。
育児や仕事が大変で家事に時間を費やせない人や、ずぼらな人だっていると思います。設計を工夫することで、どんな人でも少しでも楽に家事をこなせる家をつくれます。高性能な家にすることは大切ですが、こういった生活のしやすさを考えることも設計士の役割だと考えています。
次回は「窓廻りにへばりつくナメクジの話」をお届けします。お楽しみに!
テキスト:神長宏明(ラファエル設計)
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