住宅 建築

【PR】「地域性を取り入れた住まいの形」建築教育のリアル③

「建築学科を卒業したにも関わらず、実務設計の知識がない!」と、新人教育で嘆く実務者の声をよく聞きます。この連載では、「実施設計を行い、実際に家を建てる」というユニークな授業を行うフェリカ家づくり専門学校(以下、同校)の教育現場を取材。連載3 回目は、地域性と周辺環境を読み取った住まいを紹介します。

前回は、地域性と周辺環境の読み取り方について当校が生徒に伝えていることを解説しました。(前回はこちら

今回は、その考え方を取り入れて実際に建築した住まい「利根川沿いの家」を紹介します。

自然とつながる
中2階ウッドデッキの家

「利根川沿いの家」は、大人2 人暮らしの生活を楽しむ家として設計。広い玄関土間や各部の連続性など、SOHO で仕事をする人や多趣味でアクティブな人もフレキシブルに使える工夫を凝らしました。

また、終の棲家かあるいは二拠点生活の別荘としても使えます。自然と向き合う静かな暮らしや、誰かを招くようなにぎやかな生活など、さまざまな楽しみ方を想定しています。

建設地は群馬県の利根川沿いにあり、市街から少し外れの自然を身近に感じられるロケーションです。

変形敷地に合わせてDK 部分を川の方角に約57 度振り、北東方向に開放。三角形のデッキを突き出し、自然を積極的に感じる形状となっています。

すぐ脇を通るサイクリングロードからシャープな印象の家の全景が見渡せます。

北方向から外観を見る。大きく張り出した三角形デッキをRC 柱脚で受けることで、下を駐車スペースとした

住まいの最も大きな特徴は、スクエア型のアイランドキッチンを中心に置いた中2階部分です。このダイニングキッチンは三角形の広いウッドデッキへとつなげることで、音、光、風の自然を感じる開放的な空間となりました。2階リビングスペースはスケルトン階段とスチール格子で空間を連続させています。ソファに座りアイレベルの変化を楽しみながら、テクスチャのある壁に囲まれたくつろげる場所が用意にしました。

2階のキッチンダイニングを見下ろす。ウッドデッキを介して、視線と風が気持ちよく抜ける

住宅に画一的な正解はない

間取りの点からみれば、スキップフロアである「利根川沿いの家」は、決して高効率な間取りではありません。それよりも優先したのは絶好のロケーションを生かした生活の豊かさ。比較的温暖な土地であったため、自然の恵み(日射し、風、雨など)を目や耳や肌で感じられることをよしとする考えもアリと答えを出しました。

 

当校が考え、生徒に伝える「住宅」は「製品」ではありません。違いとして現れるのは、空間の独自性、空気感。材料やディテールの味わいや手仕事のよさ。規格住宅にハマらない家族像やライフスタイルに応える住宅をつくることです。 

そもそも住宅は、個(住人と代弁者である設計者)の考えを汲んだもっとわがままなものであって良い筈ではないでしょうか。

 

連載②「地域性を読み取る」はこちら

取材先「学校法人フェリカ学園 フェリカ家づくり専門学校(※)」

建築・インテリアのプロフェッショナルを育成するための学校。学校側が土地を購入し、設計・施工までを行う超実践な家づくりの教育で注目を集めています。
家創り実践科(4 年制)にて家づくりのAtoZ を学びたい学生を全国から募集。3 年次編入枠有り(対象:大学建築学部卒又は二級建築士所有者のみ)。
※フェリカ建築&デザイン専門学校は2022 年4 月より名称を上記に変更する
[公式サイト]https://felica.ac.jp
[所在地]群馬県前橋市南町2-38-2
[TEL]0120-343-750

こちらの記事もおすすめ

【PR】【動画】これだけは知っておきたい。住宅の耐震・防火

2022/01/07

木造住宅の「耐震」と「防火」は、命を守るために絶対必要な安全性能です。これらをおろそかにして優先することなど1つもありません。そのくらい重要なことですから、多少堅苦しい内容であっても家づくりを始める前に、基本だけは押さえておくとよいでしょう。

歴史と文化を生かすリノベ術①

新着 建築 インタビュー2022/11/18

〝大正浪漫〞の趣を残す温泉街にある木造建築「銀山温泉 本館古勢起屋」が、建築家・瀬野和広氏の改修設計により、当時の趣をそのまま生かした形で現代によみがえりました。内外装ともに、大正時代に一世を風靡した木造の洋館建築の設え。歴史と文化を繋ぐ、その設計術を紐解いていきます。

「洋服が散らかる家」低気密低断熱住宅ルポ⑰

連載2022/06/17

こんにちは。一級建築士の神長宏明です。私は、エアコンを24時間つけっぱなしでも月々の光熱費が1万円以下で済む高気密高断熱住宅を設計していますが、住んでいるのは【低気密低断熱住宅】です。連載17回目は、寒い&収納が遠いために散らかりまくった洋服の話です。

「木でつくる燃えにくい建築」安井昇の木造化・木質化と防耐火②

建築 連載2021/01/08

 建築物の木造化・木質化における防耐火設計について具体的に考えてみましょう。目標は、木材の特性を正しく理解したうえで、 〝火炎を燃え拡がらせない〞〝火炎で建物が壊れない〞〝火炎を建物の内外へ燃え抜けさ …

「中価格帯+猫用を提案」 ―「KANADEMONO」の家具・インテリア―①

住宅 建築 家具2023/04/12

中価格帯&ECに特化した家具ブランド「KANADEMONO」。シンプルでどのようなスタイルのインテリアにもなじむアイテムはSNSを中心に評判となり、住宅やオフィス、店舗で採用が増えています。’23年2月には猫と人の生活を調和するアイテムを取り扱う「Nekodamono」もデビューしました。

Pick up注目の記事

Top