「建築知識」の連載「快適な暮らしのヒミツ」(旭化成建材 快適空間研究所)が、「あたたかい暮らしのヒミツ」として5月末に書籍化されました。
内容は、優れた温熱環境を実現するために必要な基礎知識などを中心に構成していますが、これまでの書籍ではあまり取り上げられていない「優れた温熱性能が日常の生活価値向上にいかにつながるか」という切り口でもまとめています。その中身を少しだけ、ご紹介しましょう。
カバーは、“快適”の定義でもある「暑くもなく寒くもない状態」を、春の暖かな一日として表現しています。開放的な空間のなかで、本書に登場するキャラクターが気持ちよさそうに過ごしています。
Part1「あたたかい暮らしの理想と現実」の1コマ。温熱性能が悪い家では、暖房されない水廻りは、居室よりも温度が低くなりがち。ここでは、その調査結果を示すとともに、居室から水廻りに移動する際に、ついついコートを身に纏ってしまう、という矛盾をイラストで表現しています。
Part2「あたたかい暮らしの物差し」の1コマ。夏の表面温度についての目標(室温+2℃以下)を解説しています。夏は天井面の温度が上昇しがち。天井面の温度が40℃近くになると、エアコンでいくら室温を下げようとしても、その熱で体感温度が上がってしまう現象を説明しています。
Part3「あたたかい暮らしのレシピ」の1コマ。“頭寒足熱”を実現する方法の1つとして、床下エアコンを説明しています。床暖房と同様に床表面温度が上がるほか、吹出し口からの温風も得られます。それは、仲のよい友達と一緒に足湯を楽しんでいるシーンになぞらえることができます。
もともと、一番長い時間を過ごす場所であった“住まい”ですが、“おうち時間”や“リモートワーク”というフレーズから見て取れるように、その時間は今後圧倒的に増える可能性があります。これまで、ほかの場所でしていたあらゆる行為を“住まい”ですることになるかもしれません。
そのためには、改めて“住まい”の”温熱環境”について考えてみることが大切なのではないでしょうか。内容は基本的ですが、プロの方にも、”温熱環境”の重要性を訴えるための“プレゼンツール”としてお薦めです。ぜひ、ご一読ください。