「それぞれの居場所をつくる」お洒落で落ち着くカフェ空間のつくりかた④

慌ただしい日常を離れて、ゆったりと時間を過ごせるカフェ。「カフェのような家に住んでみたい」という需要も高まっています。ここでは、うちカフェの第一人者「cafenoma」に究極のカフェ空間のつくりかたを徹底取材。そのポイントをまとめました。

はじめに

「コーヒーのある生活」をテーマに、空間プロデュース、コミュニケーションデザイン、オリジナルプロダクツ開発・販売、接客・サービスのノウハウ提供などを手掛ける、夫婦ユニットcafenoma(カフェノマ)。10万人を超すフォロワーがいる人気のインスタグラマーでもあり、主な著書として「最高の暮らしを楽しむ住まいのレシピ」(エクスナレッジ刊)があります。本書には、コーヒーのある暮らしとインテリアについての考え方がキャッチーなコピーと美しい写真・イラストとともにまとめられています。ここでは、そのエッセンスを3回に分けて紹介します。

 

1 気分にあわせて、居場所を選ぶ楽しみ

カフェでの過ごし方は人それぞれ。コーヒーをじっくり楽しんだり、読書をしたり、会話をしたり、外を眺めたり。さまざまな過ごし方がありますが、1人になりたいからという理由から、何かに集中し没頭するために行くことも多いでしょう。人の目を気にすることなく雑踏に紛れるように、ぼーっとできるのが心地いいからかもしれません。そんなときは、ガラス窓で抜け感を保ちながら空間を区切ったり、床の高さを変え座る位置をずらすなどして、客どうしの目線が合わない配慮や、視線をやんわりと遮るための工夫があると心地いい空間が生まれます。

1つのカウンターを共有して床の高さを変えた例。同じ空間でありながらも、「座る」「寝そべる」など、さまざまな過ごし方ができるので、その時の気分に合わせて席を選べるようにすると、毎日のように通っても飽きないカフェになる。ガラスの間仕切り壁で囲まれた空間は、ガラスを通して同じ空間に身を置きながらも、一定の距離感を保ちながら、1人もしくは少人数でも気兼ねなくすごすことができる。

 

2 味のあるものを取り入れヌケ感をつくる

心地よさを最優先に考えるのであれば、まるで家で過ごしているような、緊張感のないリラックスできる居場所づくりを心がけるようにします。自宅なら座り心地やデザインの違う椅子をひとつひとつ吟味し、時間をかけて手に入れることで、形のちがう椅子がバラバラと並ぶこともあるでしょう。天井高があり、床や壁の素材が無味乾燥な印象を与えてしまうカフェなら、できるだけ味わいのあるビンテージチェアやテーブルを配置して、まるで自宅にいるような印象になるようにバランスをとることもできます。空間を支配する床と壁、家具の素材や色のバランス全体を考慮しながら心地よさを演出することが可能です。

ダイニングチェアを同じ製品で統一せず、異なるものをセレクト。デザインが少しずつ異なっても、素材の質感や色のトーンが調和してバラバラな印象を与えない

つづく

 

こちらの記事もおすすめ

乃木坂46、木の建築で舞う。~「シンクロニシティ」ミュージックビデオ撮影秘話〜

住宅2020/10/30

「建築知識2019年8月号」に掲載した『乃木坂46、木の建築で舞う。~「シンクロニシティ」ミュージックビデオ撮影秘話〜』。先日、乃木坂46を卒業した白石麻衣さんがセンターを務めた楽曲のMV秘話をご覧ください。

住まいのリノベ断熱塾 from『住まいのリノベ設計塾』

住宅 建築 建材2024/03/27

『住まいのリノベ設計塾』(2023年11月発売)は、リノベーションで数多くの設計実績をもつ各務謙司氏と中西ヒロツグ氏が、間取り・設備・断熱・水廻り・造作家具・法規…というテーマに分け、豊富な写真と図面を交えて手法をひもとく解説書。同書のなかから、需要が高まる断熱改修(Part5 費用対効果の高い断熱改修)の一部を公開します。

「断熱は“適材適造”」寒冷地で別荘をつくる方法ー②

住宅 建築 インタビュー2022/09/13

自然豊かな北海道、特にニセコや富良野では、外国人の不動産投資が活況。自然と一体化したダイナミックな建築が数多く計画されています。今回は、外国人向け別荘の設計を数多く手がける須藤朋之氏(SAAD/建築設計事務所)に、建築計画や断熱・気密の考え方をお伺いしました。

「子育て家族には戸建てが一番な理由」低気密低断熱住宅に住んだルポ③

連載2020/10/12

こんにちは。一級建築士の神長宏明です。私は高気密高断熱住宅を設計していますが、住んでいるのは【低気密低断熱住宅】です。連載3回目は、住んでみて分かった戸建て住宅の魅力をレポートしていきます。

間取りから始める人は要注意!美しい住宅の設計法とは

2022/12/27

設計が上手い人のつくった家は、一目見ただけで素敵だなと思う何かがあります。一方、設計があまり上手くない人がつくった家は、どこかその場に馴染んでいない感じがするものです。その違いは何か。もしあなたが「間取り最優先」で設計しているなら、要注意。3人の建築家の手法を紹介しましょう。

Pick up注目の記事

Top